概略
カーギルはアメリカのミネソタ州に本社を置く穀物メジャーです。
穀物のみならず、精肉・製塩、金融、工業品にも営業範囲を広げています。
世界の5大穀物メジャーの1つであり、2021年の世界シェアでは1位を誇っています。
カーギルの以前の本社は古城のような外観の建物ですが、内部は一大情報センターであり、全世界の穀物の生産と消費の情報を基に経営戦略が練られていました。
しかし現在は取り壊されてしまい、新たな本社に移転をしました。
ビジネスモデル
穀物メジャーとは?
そもそも穀物メジャーとは、穀物に関する様々な事業を行う多国籍企業のことを指します。
そして、穀物メジャーは穀物取引において大きな影響力を持っており、主に生産より後の加工・流通・販売の過程を取り扱っています。
すなわち穀物メジャーは①農家から作物を買い取り、②作物を運搬・加工し、③作物を販売するという役割を担っています。
そして穀物メジャーの事業において一番重要なポイントは決して自分で作物を栽培しないことです。
これは、作物の栽培は天候被害、害虫被害、国際価格の変動などの要因により安定した収益を上げることが難しいためです。
穀物メジャーは農家から作物の買取と販売に特化することで安定した利益を確保することができます。
また、例えば害虫被害が発生したときには穀物メジャーが農家に農薬などを販売することによって、収穫量が減少しても利益を上げることが可能です。
そのため穀物メジャーは毎年ある程度安定した利益を上げることができるのです。
5大穀物メジャーとカーギル
世界には5大穀物メジャーと呼ばれる企業があります。
の5つです。
これを見るといかにアメリカが穀物市場において力を持っていることがわかるかと思います。
その中でカーギルのビジネスモデルはわかりやすいものです。
伝統的な大豆や小麦、トウモロコシといった穀物の集荷や取引の業務だけでなく、綿花、パームオイル、食肉、金融事業、といった分野でも営業範囲を広げ、規模を大きくすることでシェアも拡大してきました。
また、カーギルは「種子」の研究に力を入れそれを足掛かりに新市場でも地位を築きました。
1907年にハイブリッドコーンなどのハイブリッド種子を販売し、その後も種苗会社の買収を行うことでカーギルはハイブリッドコーンビジネスのリーディングカンパニーとなり、自社独自のハイブリッド種子も開発するようになりました。
その後もアルゼンチンやオーストラリア、アフリカなどで種子ビジネスを行い、各地で存在感を強めていきます。
最終的に種子ビジネスは売却をしましたが、世界におけるカーギルの信頼や存在感を示すことにつながり、新市場への足掛かりになりました。
各種指標
ここからはカーギルの売上高の推移をみていきたいと思います。
このグラフから毎年カーギルは売上を増加させていることがわかるかと思います。
これは、カーギルが事業を幅広く展開し、安定した収益基盤があることはもちろん外部環境にも要因があります。
2021年はブラジルの天候不順や新型コロナウイルスからの回復による需要増加を受け、穀物価格が上昇しました。
また、2022年には穀倉地帯であるウクライナでの紛争の影響もあり、穀物の価格が上昇したため結果としてカーギルの売上も上がっているのです。
今後の展望とまとめ
世界の人口は今後も増加し、それに伴って食料需要は増大していきます。
特に穀物の需要は著しく増加すると予想されています。
将来的にはより多くの食料を消費地から離れた場所で育てることが必要になるため貿易の解放と機能的な市場が長期的な食の安全性を実現するために不可欠です。
カーギルは世界規模の物流ネットワークやサプライチェーンのノウハウを活用することで食料が余っている地域から必要とする地域に輸送することを可能にしています。
また、市場の需要に合わせた食料イノベーションの提供もカーギルの成長を支えるでしょう。
ヘルシーオイルやゼロカロリーの甘味料、成長促進抗生物質を含まない七面鳥をはじめとする膨大な製品や原料の需要はまだまだ拡大していくと予想されます。
このような消費者の好みや需要に合わせた穀物を提供できるのは世界で大きなシェアを持つ穀物メジャーであり、カーギルなのです。
世界に食を安定的に提供するカーギル。
今後も様々な食料需要に応え、私たちの食卓に多くの食物を提供してくれるでしょう。