世界の企業研究

世界の企業を知っていこう

クボタ銘柄分析 ~食・水・環境を支える企業研究~


概略

クボタは大阪に本社を置く農機・建機メーカーです。

農機メーカーとしては国内首位、世界でも3位のシェアを誇っており、2022年の売上は2兆円を超えています。

海外売上比率は8割近くで北米・アジア・ヨーロッパなどに事業を展開しています。

食料・水・環境にかかわる事業を行っており、今後も需要が底堅い領域でビジネスを行うことが期待されています。

 

https://www.kubota.co.jp/ir/individual/next-stage/index.html

 

事業内容分析

機械セグメント

世界の人口は今後も増加を続け、それに伴って食料の需要も増加していきます。

そのため、農業の生産性の向上が求められており、農機メーカーの技術向上がカギになるのです。

クボタは国内首位、世界3位の農機メーカーであり、様々な農機を提供しています。

また、建機も製造しており北米を中心に展開しています。

 

https://www.kubota.co.jp/ir/individual/next-stage/index.html

 

また近年ではデータ活用と自動化を合わせた新しい農業の形である「スマート農業」を推進しています。

農機だけを製造販売するのではなく、農業資材の供給から販売までにかかるトータルソリューションを提供する企業と言っていいでしょう。

 

https://www.kubota.co.jp/corporate/business/agriculture/index.html

 

機械セグメントの最新の業績(2023年度第3四半期)はアジアを中心に農機、北米を中心に建機の売上が伸び、前年同期比もプラスで推移しています。

特にインフラ開発があると建機は伸びますので今後もインフラ開発が盛んであると建機はまだまだ伸びていくかもしれません。

これは景気に左右されますので注視が必要にはなります。

 

https://www.kubota.co.jp/ir/financial/presentation/data/rsm134q3.pdf

 

水・環境セグメント

世界にはまだまだ安全な水にアクセスできない人が多くいます。

また、水を得るために片道30分以上かけて水場に汲みに行く映像などを見たことがあるのではないでしょうか。

世界のすべての人が安全な水を得られる環境を整えることが求められており、クボタはこの分野にも注力しています。

 

https://www.kubota.co.jp/ir/individual/next-stage/index.html

 

 

クボタは単に製品を提供するだけでなく、水インフラの設計からメンテナンスまでを一貫して提供しています。

特にクボタの製造する水道管は世界最高水準として日本だけでなく、世界でも使用されています。

また、この分野でもIoTを活用しており、リアルタイムで稼働状況をチェックでき、施設の修繕や更新をタイムリーに行うことができるようにしています。

これにより、効率化につながるだけでなく人員不足にも貢献できるのです。

社会インフラである水は止まることが許されないものですのでこうしたところでITの力を活用しているクボタは社会的責任も高いといえるでしょう。

また、日本だけでなく世界にも水ソリューションを提供しています。

新興国を中心に水道普及率を高めるべく邁進しているのです。

 

https://www.kubota.co.jp/corporate/business/water/index.html

 

水・環境セグメントの最新の業績(2023年度第3四半期)は堅調に推移しています。

 

https://www.kubota.co.jp/ir/financial/presentation/data/rsm134q3.pdf

 

各種指標分析

売上高・営業利益

https://irbank.net/E01267/resultsを参照し作成

 

クボタの売上高、営業利益を見ていきたいと思います。

まず、売上高は2020年以降毎年増加しています。

IRバンクで2008年以降の売上高を確認しても、長期的に右上がりで増加しているため成長している企業と言えるでしょう。

また、営業利益率は10%近くあり、製造業としては優良な数字と言えます。

営業利益は「売上に対して、どの程度の利益が出ているか」という指標です。

一般的に利益率の高い企業は競争力を有していることから、本業でどれだけ儲けているのかを判断できる数字です。

10%あれば優良企業と言える一つの判断基準になりますのでクボタは競争力の高いビジネスを行っていると言えます。

 

EPS(1株利益)

https://irbank.net/E01267/resultsを参照し作成

 

次はEPS(1株利益)です。

この数字が増加しているほど稼ぐ力が大きいと判断できる指標です。

クボタのEPSは長期的に見て右上がりに増加していると言えるでしょう。

前年と比べて減少する年もありますが、翌年には増加に転じており、稼ぐ力を長期的に高めている企業と考えてよさそうです。

 

自己資本比率

https://irbank.net/E01267/results#c_11を参照し作成

 

続いて自己資本比率です。

自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標であり、一般的に数値が高いほど安全とされています。

クボタの自己資本比率は40%前後で推移しています。

近年やや減少傾向にありますが、40%あれば財務健全性に問題はないと言っていいと思います。

 

配当・配当性向

https://irbank.net/E01267/results#c_21を参照し作成

 

最後に配当・配当性向です。

クボタは実質累進配当となっており基本的に減配がない企業です。

また、株主還元の中期目標として

  • 総還元性向40%以上を目標とし、50%を目指す

とあります。

総還元性向とは配当だけでなく自社株買いなどを含めた形が儲けた利益の何割を占めているかを表す指標です。

自社株買いにも積極的な企業であり、総還元性向も40%を超えてきているので配当の目標も高い確度で達成してくれる企業だと考えています。

ちなみに自社株買いとは、企業がすでに市場に流通している自社の株式を買い戻すことで1株利益の向上による株価上昇が期待できる行為です。

株主還元はまずは配当を第一に考え、余裕があれば自社株買いという流れが一般的です。

そのため、自社株買いは堅調で安定した利益がなければ実施することが困難です。

クボタは自社株買いも適宜行っていますので堅調な業績を上げていると判断できます。

 

https://www.kubota.co.jp/ir/stock/returns/index.html

 

まとめ

以上のようにクボタは農業・水という生活に欠かせない事業を行う企業であり、長期的にも成長している企業と言えるでしょう。

また、特に農業従事者が著しく減少している日本においては農機に力によって生産性を高めることが急務です。

 

https://www.kubota.co.jp/innovation/smartagri/index.html

 

そのため、クボタはICTの技術を活用して農業の新しい形を提案しています。

それが「スマート農業」と言われるものです。

まず、GPSを活用することで農機の自動走行システムを設定すると、夜間でも自動で農機が動きます。

 

https://www.kubota.co.jp/innovation/smartagri/index.html

 

また、複数の農機を動かすことも可能になります。

これにより、農業従事者の数が少なくても規模の大きい農業が可能になります。

次に、田畑の状況をデータを活用して判断し、高品質の作物を多く収穫することが可能になります。

 

https://www.kubota.co.jp/innovation/smartagri/index.html

 

また、重労働の多い農業の作業をアシストスーツやロボットで楽にすることも可能です。

これらのICT技術を活用することで、老若男女問わず高い生産性をもつ農業が可能になると言われています。

また、すべてを自動化できれば田舎に住まずに都会から指示を出し、月に数回田畑に行くだけで済む可能性もあり、都心で農業を営む人も増加する可能性もあるのです。

農業というこれまでは手作業が基本の領域にICTが組み込まれることによって農業は化ける可能性はありますね。

 

https://www.kubota.co.jp/innovation/smartagri/index.html

 

今後も食料需要が高まる世界においてこうした取り組みは非常に重要なので個人的に応援したい企業の一つです。