概略
シマノは大阪府堺市に本社を置く自転車部品・釣具を製造するアウトドアスポーツメーカーです。
特に自転車部品大手であり、高級ブランド向けなどの製品は海外売上比率が9割を超えています。
現在では世界約50の拠点で事業展開を行い、多くの社員がグローバルで活躍しています。
シマノの製造するホイールやギア、変速機、ブレーキ、レバーなどの自転車部品は世界的な自転車ロードレースの大会「ツール・ド・フランス」でも多くのチームが使用しており、自転車部品では「世界のシマノ」として非常に有名です。
事業内容分析
バイシクルコンポーネンツ
地球規模で環境問題が考えられている中で環境負荷の低い自転車は大きな注目を集めています。
自転車部品メーカーのシマノは競技用の自転車から私たちが使用する自転車まで世界中の自転車に部品を提供しています。
特に金属加工技術に非常に優れており、過酷な環境の中でも最大限のパフォーマンスを発揮するため、世界のトップレーサーから指示されているのです。
世界の自転車市場は今後も堅調に成長すると予想されています。
通勤・運動・スポーツ・ハイキングなど世界中の人々の健康志向の高まりにより自転車の市場は近年成長してきました。
また、交通渋滞の増加や都市化、人々の環境への関心の高まりが自転車市場の成長を推進しています。
世界の人口は今後も増えると予想されていますので、さらに都市に人が集まり、渋滞も増えていきます。
そのため、小回りが利き、環境にやさしい自転車市場も伸びるとされています。
さらにコロナウイルス禍において自転車の需要は非常に伸長しました。
ソーシャルディスタンスを確保しつつ、体も動かすことができるため世界で販売が好調になり供給不足に陥ることもありました。
現在はその需要は一服しましたが、今後も自転車市場は伸びると予想がされています。
自転車部品の業績推移はコロナ禍において急進したものの現在は一服し、2023年度は在庫が積みあがり新規需要の低迷が続いたため減少しています。
釣具事業
シマノは釣具も製造しています。
釣りもアウトドアレジャーとして非常に人気があります。
また、このメーカーの製品でないと自分に合わないというこだわりを持つ人も多く、ファンを獲得しやすい領域でもあります。
釣りも新型コロナウイルス禍においてソーシャルディスタンスを確保できるアウトドアとして需要が世界で拡大しました。
特にアジアでは釣りという文化が新たに浸透し、高い関心を持つ人が増えています。
日本をはじめ先進国でも釣りはアウトドアレジャーとして再認知され、市場規模を拡大しています。
釣具の業績推移も新型コロナウイルス禍において急伸しましたが、需要が一服した状況です。
ただ、底堅い需要に支えられたこともあり、2023年度は微減にとどまっています。
各種指標分析
売上高・営業利益
シマノの近年の業績推移を見ていきたいと思います。
売上高・営業利益ともに新型コロナウイルス禍の特需によって2021年、2022年は売上を非常に伸ばしましたが、2023年は需要も一服し減少に転じました。
また、自転車部品の一部で不具合が生じたため、無償点検・交換の関連費用を計上したため純利益においても減少しました。
ただし、自己資本比率の部でも述べますが、シマノの財務体質は非常に堅牢です。
また、対象商品の市場シェアも高く、不具合の中期的な影響は限定的だと考えられます。
営業利益率は毎年15%を超えており、非常に高い数字を誇っていることもポイントでしょう。
これは利益率の高い(=稼げる)事業を行っている証拠です。
自転車部品・釣具というニッチな市場で圧倒的な存在感を誇っているからこそ高い営業利益率を維持できるのでしょう。
EPS(1株利益)
続いてEPS(1株利益)です。
EPSは1株当たりいくら儲けているかを確認するための指標でこの数字が成長しているほど稼ぐ力を伸ばしていると判断できます。
シマノのEPSは2022年までは成長していましたが、2023年においては減少しています。
この理由についても売上高・営業利益の部で述べたコロナウイルス関連が要因です。
ただし、コロナウイルス特需前の2020年よりはわずかではありますが増加しています。
今後の自転車市場の拡大を考えると、シマノのEPSは増加していくのではないでしょうか。
自己資本比率
次は自己資本比率です。
自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標でこの数字が高いほど安全と言えます。
財務体質が非常に強いという証拠であり、このため自転車部品に不具合が起きた場合でも自己資本で対処できるという考え方ができます。
突発的な出来事が起きた場合でも自己資本比率が高い企業は強いと判断できますのでシマノの財務体質は安全だと判断できます。
手元のキャッシュも潤沢にありますので、事業継続に何ら問題はありません。
配当・配当性向
最後に配当・配当性向です。
21年に減配しているように見えますが、2020年は記念配当も含んでいますので普通配当においては減配がない累進配当銘柄になります。
事業も順調に推移していますし、配当性向も20%程度と低い数字のため今後も増配が期待できます。
今後の展望とまとめ
以上のようにシマノは今後市場が拡大するアウトドアレジャーにおいて圧倒的知名度を持ち、財務基盤も堅牢な企業と言えるでしょう。
シマノは自転車部品と釣具という非常にニッチな分野に特化した企業です。
どちらも非常に優れた技術力が必要とされる製品ですが、シマノは高い技術力を生かして市場が満足する製品を作り続けてきました。
その結果として市場シェアを伸ばし、シマノという圧倒的に高品質な製品がすでに存在する市場となったため、他企業の参入が難しい状況になっています。
オンリーワン的な存在となり、他にライバルがいないという圧倒的な市場を創り出したシマノは今後も成長する自転車市場・釣り市場とともに順調に売上を伸ばしていくのではないでしょうか。