概略
ユニリーバはイギリスのロンドンに本社を置く世界有数の一般消費財メーカーです。
食品・洗剤・ヘアケア・トイレタリーなどの家庭用品を扱う多国籍企業でもあります。
世界展開にも積極的で現在は世界180か国以上に支店網を有しています。
P&G、ネスレに次ぐ世界3位の一般消費財メーカーであり、多数の有名ブランドを抱えていることが特徴の一つです。
ビジネスモデル
ブランド戦略
ユニリーバは世界3位の一般消費財メーカーとして世界に誇るブランドを数多く抱えています。
「Dove」や「LUX」などをはじめとするヘアケア商品や「クノール」などのスープ商品など様々なジャンルのブランドを抱えています。
また、日本では馴染みがないですが、アイスのメーカーとしても非常に有名です。
ただ、ユニリーバは有名ブランドを抱えるだけでなく、選択と集中も行っています。
例えば、紅茶のリプトンブランドは売却するなど利益を出せるブランドに集中して展開をしているのです。
リバース・イノベーション戦略
ユニリーバのビジネスモデルは徹底的に現地に適応した商品を展開することです。
例えば現地の手洗いの仕方に則した棒状の洗剤や歯ブラシではなく指で使う歯磨き粉などの商品です。
一般的に先進国のグローバル企業は先進国で商品開発を行い、その商品をベースに新興国向けに仕様変更して販売するいわゆる「グローカル戦略」をとっています。
ユニリーバはその逆で新興国で商品開発を行い、逆に先進国でその商品を展開する「リバース・イノベーション戦略」をとっています。
これにより、デジタルを活かした新たなビジネスモデルを駆使してマーケットシェアを獲得していくローカルの競合が登場したとしても競争力のある商品を展開できますし、細分化されたローカルニーズが発生してもスピーディーに対応することが可能です。
4P戦略
またユニリーバは新興国へのアプローチとして「4P戦略」をとっています。
4つの「P」とは
- People(現地の消費者)
- Partnership
- Purpose
- People(従業員
です。
まず現地の消費者を表す「People」の生活や文化を理解し、「Partnership」である販売店や物流企業の人材育成、システム投資を行います。
そしてユニリーバは「Purpose」を特に重視しており、何のためにその国でビジネスを行うのかというお金儲けではない目的をしっかりと確立することとしています。
最後の「People」は従業員を指し、新興国の人材でも世界で通用するレベルの人材とするべく投資を行っています。
この4P戦略を徹底して行うことでユニリーバは収益の半分を新興国から得ているのです。
各種指標
ここからはユニリーバの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
売上は毎年わずかではありますが増加しています。
毎年安定した金額を計上していると言ってもいいでしょう。
営業利益率は10%以上と高い数字ですが、近年はやや減少傾向にあります。
これは世界的なコスト増によるもので、売上に対してコストが増加したことが要因です。
ユニリーバは商品の値上げをすることでコスト増に対応しています。
今後の展望とまとめ
以上のようにユニリーバは有名ブランドを抱え、世界的に展開するだけでなく現地でニーズの高い商品を現地で開発することで安定した収益を計上する企業と言えるでしょう。
また、ユニリーバはデジタル技術を活用することで商品開発から販売まで効率化を行うこととしています。
例えば商品のパッケージのデザイン選定にAIを導入しました。
これにより通常は約1か月かかる消費者調査をAIで代替することで数秒に削減し、費用と時間を大幅に短縮にすることに成功しています。
また、従来は感覚的にデザインを決めていましたが、AIを活用することでデータで判断できるようになり、精度も上がりました。
このようなデジタル戦略と不採算が見込まれるブランドを売却してポートフォリオの微調整を行うことでP&Gやネスレとの差を縮めていくでしょう。
新興国で多くの顧客を抱え、その土地のニーズに合わせた商品を展開するユニリーバ。
今後も各地域で本当に求められている商品を数多く展開してくれるでしょう。