概略
クラフト・ハインツはアメリカのイリノイ州とペンシルベニア州に本社を置く多国籍食品メーカーです。
クラフト・フーズとハインツの統合により誕生し北米で3位、世界で第5位の食品メーカーとなりました。
この統合はウォーレンバフェットが率いるバークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルの主導により行われました。
そのため、旧クラフト・フーズ社の本社があったイリノイ州と旧ハインツ社の本社があったペンシルバニア州の2つの土地に本社があるのです。
ビジネスモデル
保有ブランド
クラフト・ハインツはクラフト・フーズとハインツの統合によって誕生しましたが、それぞれの会社で強固なブランドを保持しています。
例えばハインツはトマトケチャップのメーカーとして世界的に知られています。
また、その後もデミグラスソースやホワイトソースといった調味料を手掛けるメーカーとしてブランドの認知度が高いのが特徴です。
またクラフト・フーズはチーズをはじめとする乳製品や飲料などを手掛けており、こちらも世界的な認知度は高いです。
日本でもコストコといったスーパーで販売されており、目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
このようにハインツとクラフト・フーズは世界的な認知度の高いブランドを有しており、それぞれが強みを持っています。
また、ケチャップやチーズと言った食料品は好景気でも不景気でも需要があまり変動しません。
不景気でもケチャップは使用しますよね。
このような私たちの生活に根付いている商品を展開しているため、収益基盤が安定しているのが特徴と言えるでしょう。
ちなみに売り上げ構成もトマトソース、チーズ・乳製品で半分近くを占めています。
DX戦略
クラフト・ハインツは2022年にマイクロソフトと提携し、DX戦略に注力する姿勢を示しました。
特にデジタル化されたサプライチェーンの構築を行うべく現在DX戦略を進めています。
具体的にはリアルタイムの予測分析を用いて在庫の透明性を向上させ、消費者と販売チャネルの需要予測をすることで消費者へのサービスを向上させようとしています。
また、社内の業務効率化も行うことで生産性を向上させることも目的としています。
さらにクラフト・ハインツが持つ85の製品カテゴリーにおけるサプライチェーンの流通管理の自動化を進めるだけでなく、AIやIoTを活用することで小売業・外食業・一般消費者に可能な限り迅速に商品を提供することを目指しています。
このようにクラフト・ハインツはDX戦略にも注力することでさらなる成長を目指しているのです。
各種指標
ここからはクラフト・ハインツの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
売上は毎年安定した金額を計上しています。
これは食料品・調味料といった生活に欠かせないものを扱うビジネスモデルなので景気に左右されないからです。
そのため新型コロナウイルスの中でも売上を落とすことはなく、逆に巣ごもり需要によって2020年は売上を伸ばしました。
また営業利益率も10%前後と高い数字で推移しています。
食品メーカーの営業利益率の平均は5%前後ですので10%前後という数字は平均以上の数字と言えるでしょう。
扱う商品の性質上、売上が激減することはあまり考えられないですが、逆に急激に増加することも考えづらいです。
いい意味でも悪い意味でも安定した企業と言ってもいいと思います。
今後の展望とまとめ
以上のようにクラフト・ハインツは生活に欠かせない食品・調味料を扱うことで毎年安定した利益を計上するとともにDX戦略にも力を入れている企業と言えるでしょう。
ただし、現在のアメリカは健康志向の高まりで脂肪分や塩分の多い食事を好まない傾向が強くなっています。
例えばチーズでは小規模生産者が作る添加物などを含まない「ナチュラルチーズ」が人気を集めるなど消費者の志向が変わりつつあります。
また、プライベートブランド(PB)もクラフト・ハインツの脅威になります。
Amazonは「ベーシック」というPBを展開していたり、コストコなどの小売りも乳製品や調味料のPBを拡充していたりするため業績に影響があるかもしれません。
しかし、その脅威に対してクラフト・ハインツはDX戦略を進めているのでしょう。
コストを削減することで利益率はさらに高くなります。
クラフト・ハインツの扱う商品は基本的に景気変動の影響を受けにくく、ブランドとして確立しているものばかりですので、DX戦略を進めて原材料の調達~販売までのコストを削減すればPBにも負けない地位を築いていくことができるでしょう。
アメリカの食卓に欠かせないケチャップやチーズを提供するクラフト・ハインツ。
世界の食卓で欠かせない商品を提供するために現在奮闘しています。