世界の企業研究

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ロレアル 〜世界最大の化粧品メーカー〜

概略

ロレアルはフランスのクリシーに本社を置く化粧品メーカーです。

化粧品、ヘアカラー、ヘアケア、スキンケアや香水を中心に扱っており、化粧品業界での世界シェアは1位となっています。

また、現在は30以上のブランドが市販されており、美容のあらゆる分野において多くの製品を世に排出しています。

ロレアルは美容室向けのヘアケア用品メーカーとして1909年に創業し、現在では140カ国に進出しているなど多国籍企業としても有名です。

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保有ブランド

ロレアルは30以上のブランドを保有しており、有名なものばかりです。

すべてのブランドを聞いたことがあるという方もいるかもしれません。

世界屈指の高級品化粧ブランドのランコムイヴ・サンローランメイベリン ニューヨーク」は聞いたことがあるブランドではないでしょうか。

また、ロレアルはM&Aも積極的に行なっており、シュウ・ウエムラなども傘下にあります。

ロレアルグループのブランド一部

 

ブランド戦略

コロナ禍の影響でマスク生活が当たり前だった2020年〜2022年にかけて女性の化粧品ニーズは急激に落ち込みました。

しかし苦戦する化粧品業界の中でロレアルは売上を落とすことはありませんでした。

その理由としてロレアルの強みが2つあげられます。

まず1つ目の強みは100年以上の歴史があるということです。

「美」という定義の難しい分野に特化し、蓄積してきた知識や知見があります。

また、ロレアルは老舗企業でありながら積極的にDX化にも取り組んでおり、それはコロナ前から取り組んでいました。

ここが2つ目の強みです。詳しく解説します。

 

CRMツールの活用

ロレアルは化粧品カウンセリングツールと顧客関係性(CRM)を組み合わせた顧客カルテを導入し、情報を全てデータで管理するDX化を進めました

店頭のカルテで管理していた情報をデジタル移行して、顧客がこれまでに購入した商品や購入頻度を把握します。

そしてそれをECサイトに反映し、顧客ごとに最適な商品が表示されるようにしたのです。

出典:https://dxr.jp/archives/1912

 

AI分析システム

ロレアルはWEB上に投稿された数百万件のコメントや画像、動画を自動で分析するシステムを開発しました。

消費者が注目している美容情報やキーワードをいち早くキャッチし、WEBマーケティングに取り入れるためです。

AIによる分析は次の流行を見据えた商品開発にもつながっているのです。

 

顧客とのコミュニケーション

ロレアルは「ランコム」などの自社ブランドからのメールを化粧品を購入してくれた顧客に配信する取り組みを強化しています。

これまでは売り場の美容部員の判断でDMやメールを送っていましたが今ではブランドから直接メールを配信しています。

また、ロレアルは美容部員によるライブコマースやネットカウンセリングを行い、そこで出た意見やコメントを素早く反映させることも行なっています。

さらにオンライン専門の美容部員である「eBA」を配置し、美容部員によるSNS投稿や運用にも力を入れてるなど複数のプラットフォームで顧客とコミュニケーションをとっているのです。

eBA 出典:https://www.syogyo.jp/news/2020/06/post_028046

このようにロレアルはブランドの展開数だけを見ても美に対するニーズに幅広く応えていることはわかりますが、さらにリアルなニーズやトレンドをDX化を活用して知ることで新たな顧客獲得を行っているのです。

 

各種指標

ここからはロレアルの売上、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。

まず売上は安定しており堅調に推移していることが読み取れます。

化粧品市場は成熟市場と言われることもありますが、ロレアルは長期的に少しですが成長しています。

そして上記に述べた通りコロナ以降はDX戦略の効果もあり増収増益を達成しています。

また、営業利益率は18%前後と非常に高いです。

これは高価格帯の商品が売れているというのが主な理由です。

高価格帯の商品が売れるということは裏を返せば高価格でもその商品を買いたいという人がいるということです。

それほどその商品には価値があり、他のブランドでは満たせない価値を提供してくれるということになります。

すなわちそれはその商品に競争力があるということです。

ロレアルはブランド価値の高い商品を多く抱えているため、結果として営業利益率も高くなっているといえるでしょう。

 

今後の展望とまとめ

以上のようにロレアルは様々な商品ラインナップの提供を行うだけでなく、DXを活用して多様な「美」のニーズに応えている企業といえるでしょう。

コロナ明けの現在ではマスクを外す人も増えてきており、化粧品の需要も増えていくでしょう。

ロレアルは大衆に幅広く広告を行うのではなく、DXを活用して個人個人に適した広告を行うことで購買意欲を高めることができます。

この戦略はコロナ明けの現在にも非常に有効なものであると考えています。

また、これまでは北米や欧州がメインの市場でしたが、アジアやインド、ブラジルでも販売が伸びておりさらに市場を開拓・獲得できる余地があるのです。

さらにロレアルは化粧品以外にも美容院向けのヘアケア商品も伸びています。

髪を切らない人はいないと思うので美容院に行く人が激減するということは到底考えにくいです。

そのため、美容院向けの商品は安定した利益を生むことができます。

そしてそれに加えて化粧品を販売することで今後もロレアルの地位は揺らぐことはないでしょう。

「美」という個人によって考え方が異なるテーマについて様々な選択肢を提供しているロレアル。

今後も多様な価値観に合う商品を提供してくれるに違いありません。