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外資が攻勢をかけるホテル業界 ~日本市場が過熱~

ヒルトン、「ウォルドーフ・アストリア・バンコク」をオープン - TRAICY(トライシー)

 

ホテル業界の現状

コロナの影響で打撃を受けたホテル業界が息を吹き返しています。

海外から旅行客の受け入れを再開した日本でも最近では多くの外国人観光客の姿を目にするようになりました。

実際に外資ホテルの稼働率も急回復しており、客室単価は約20%増と宿泊料金の高騰が起きています。

多くの宿泊施設はインバウンドを軸にした価格設定をしているようです。

2030年に訪日客6000万人という政府の数値目標はホテル業界への波及効果が大きく、高水準にある現在の料金相場が維持されていく見込みです。

実際に外資系のホテルが各地で需要を取り込み、その勢いは衰えていません。

 

ヒルトンの戦略

ヒルトンアメリカの外資テルチェーンです。高級ブランドのホテルとして知られていますが、中級ホテルの展開もしています。

現在は90か国以上の国々で600近いヒルトンホテルの運営を行っています。

ヒルトンは富裕層が満足できる高価格帯の宿泊施設が少ないというニーズに対応する戦略をとっています。

「ウォルドーフ」というアメリカの大統領も宿泊する最高級ブランドを日本に初上陸させます。

25年に大阪・梅田に、26年に東京・日本橋に開業する予定です。

 

出典:https://news.mynavi.jp/article/20211126-2199241/

 

アコーの戦略

アコーはフランスのホテルチェーンです。

最高級のリゾートブランドから都市型リゾートホテル、エコノミー型ホテルなど8種類のブランドでホテルを展開しています。

それぞれのブランドでアメニティーなどが異なり、はっきりと客層を分けたホテル展開をしているのが特徴です。

アコーは日本の大和リゾートが所有する23施設の運営を受託し、高級ホテルに転換する計画です。

日本はラグジュアリーホテル展開のカギとなる市場という位置づけをしています。

また、アコーはM&Aにも積極的で16年に「フェアモント」「ラッフルズ」を展開するFRHIホールディングスを買収しました。

そして25年には日本で「フェアモント」を開業予定です。

 

出典:https://www.shibauraproject.com/gallery/

 

マリオットの戦略

マリオットは世界最大のアメリカのホテルチェーンです。

世界約1億8200万人の会員数を誇り、リッツカールトンの運営元としても有名です。

主に高級ブランドのホテルを中心に運営しており、全世界で約6500以上のホテルを運営しています。

マリオットは若い顧客の開拓を狙った「W」を大阪で21年に、23年には「ブルガリアホテル」を都内に開業しました。

8種の高級ブランドを使い分け、何度も訪日するリピーターの需要にこたえる狙いです。

また、価格を抑えた「フェアフィールド・バイ・マリオット」も各地の道の駅に隣接して展開する予定です。

91拠点、20ブランド体制で幅広く需要を取り込む戦略です。

 

出典:https://news.merumo.ne.jp/article/genre/10558694

 

開業ラッシュの理由

外資系ホテルの開業ラッシュに拍車をかけているのが自治体です。

地域の観光需要を活性化させるために自治体所有の遊休地などに高級施設を誘致する動きがあります。

外資が持つ幅広いブランドの選択肢はホテル選定の競争で有利に働くため、外資の攻勢が続いているのです。

また、旅行者のニーズも変化したことも理由の一つです。

かつては百貨店のような総合ホテルが好まれましたが、近年はテーマ性のある専門店型に人気が集まっています。

個性という点で外資系の展開は強みになるのです。

 

今後のホテル展開のカギ

現在インバウンドの増加で息を吹き返しているホテル業界ですが、今後はマーケティング力によって将来が左右されることになります。

近年はインターネット検索に代わり、SNSで情報を探すユーザーが増加しており、友人やフォロワーが紹介する商品やサービスに注目が集まり話題の情報をSNSで検索する傾向が強まっています。

SNSでは個人的な感想や意見が投稿されるため、無名のレビュアーが書く検索エンジンの情報よりも参考になりやすく、ホテル選びにおいても同様の現象が見られます。

そのため、SNS限定のイベント告知やキャンペーン情報の発信など充実したコンテンツを提供したり、フォロワーとのコミュニケーションを大切にして、フィードバックを取り入れたりすることでファンを増やすことが大切になります。

 

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まとめ

以上のように現在外資系ホテルは現在日本に攻勢をかけており、日本が重要な地域と考える事ができます。

また、現在はインバウンド需要でホテル需要は高まっていますが、今後は外資系、日系問わずホテルは自社でのマーケティングが重要となりそうです。

ではなぜ日本は需要な地域なのでしょうか。

これは外資にとって日本はアジア展開の試金石となるからです。

 

100 Sunset Kuta Hotel | Cities and Hotels

 

富裕層の旅行需要が伸びるベトナムやインドなどの主要都市に向け、日本で磨いたきめ細かいホスピタリティー顧客満足を向上させ、シェアを拡大していきたいという狙いです。

様々な顧客体験を提供する外資系ホテルチェーンの攻勢はまだまだ続いていきそうです。