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イオンモール ~海外事業に注力する商業デベロッパー~

概略

イオンモールは千葉県に本社を置くショッピングセンター事業を展開・運営する企業です。

商業デベロッパーとしては日本屈指の規模を誇り、海外事業も積極的に行っています。

日本では167店舗、海外では35店舗を運営し特に海外ではアジアを中心にショッピングセンターを展開しています。

この記事ではイオンモールの海外展開について書いていきたいと思います。

 

 

イオンモールの海外事業

中国でのモール展開

イオンモールは海外で35店舗を運営しており、中国・アジアを中心に展開しています。

2008年に中国に進出して以来、武漢市では3店舗、湖南省では2店舗を展開しておりさらに1店舗の開業予定です。

ゼロコロナ政策が緩和され、行動制限がなくなったなかで春節を迎えた中国では帰省や旅行等の購買需要が拡大しました。

今後も経済成長が進む中国で店舗を増やしていくことでアジアで地位を築く足掛かりになるかもしれません。

 

https://www.aeonmall.com/facility/detail/4211/

 

カンボジアでのモール展開

イオンモールカンボジアで展開したショッピングセンターのイオンモール センソックシティ」が現在人気を集めています。

エンタメの要素がいたるところにちりばめられていることが特徴です。

まず施設内に屋内遊園地があります。

そこにはバイキングや空中ブランコ、お化け屋敷などがあり行列ができるほど人気です。

 

カンボジア イオンモール SenSok City - シーキュー・アメニック

 

バイキングや空中ブランコなどの大型アトラクションだけでなく、講演会などを目的として利用される大きなコンサートホールも設けており、これは日本でも珍しいレベルの施設です。

イオンモールカンボジアに開設したショッピングセンターの特徴は主に3つあります。

1つはエンタメ性を充実させ、顧客の滞在時間を延ばすいわゆる滞在型のショッピングセンターだということです。

イオンモールはこのような滞在型のショッピングセンターの開設を進めており、直近では2023年4月にイオンモール ミエンチェイ」を開業しました。

ミエンチェイのショッピングセンターはイベント内容を手厚くしており、歌手のライブや地元の祭りなどを開催するためのイベント用スペースが設置されています。

また、4階から3階に通じる屋内スライダーがあったり、共用通路の床には陸上トラックが設置され、ここを走るイベントが想定されたりしています。

センソックシティには屋内遊園地のほかプール付きジムやボウリング場、屋外にはウォータースライダーがあります。

 

カンボジア イオンモール SenSok City - シーキュー・アメニック

 

コンサートホールではアイドルグループの公演やeスポーツの大会を開催しています。

さらには地元テレビ局のスタジオも設けているのです。

現地の人気オーディション番組がここで収録されており、1階の収録に数百人の観客が集まります。

2つ目の特徴は新たなテナント構成を採用したことです。

これまでカンボジアにあったショッピングセンターは家族経営の店が入居するケースが一般的でした。

イオンモールは商業施設でよく見られるブランド誘致しており、ミエンチェイにはアルマーニエクスチェンジやコーチが出店するなど新しい消費を喚起しました。

3つ目の特徴はショッピングセンターの開設が街づくりに貢献していることです。

センソックシティでは、マンションや商業施設などが立地する再開発エリアにショッピングセンターがあり、地域の中心になっています。

プノンペン中心部に開設したショッピングセンターの周辺にはマンションや商業施設、ホテルが建つようになり、新たな地区となっています。

 

イオンのカンボジア2号店「イオンモール セン ソック シティ」5月30日(水)9:00オープン!!6月20日(水)オープンセレモニーを開催 ...

 

このような取り組みがカンボジアで支持を集め、カンボジアでの事業収益は拡大しています。

イオンモールカンボジア事業は23年の売上高が前期比89%増の56億円、営業利益は2.3倍の11億円になりました。

 

まとめ

イオンモールが2014年にカンボジアに進出した後、地域住民や政府高官から「Before AEON,After AEON」と言われるほど買い物のスタイルや商業施設の提供コンテンツが変わりました。

カンボジアの人口は現在1676万人ですが、2030年までに人口が2000万人近くに増えると予想されておりまだまだ成長が見込まれます。

 

[カンボジア] 数字で見るカンボジア | プロパティアクセス

 

イオンモールカンボジアの若者が子育て世代になった時の消費を取り込めるように現在種をまいているのです。

実際に約40年前から投資を続けているマレーシアでは人口の増加や高い成長率を背景に店舗網を拡大してきました。

カンボジアは40年前のマレーシアと似た状況であり、それゆえに力を入れているのです。

中国やタイの不動産企業やデベロッパーもカンボジアには注目をしており、競合環境は厳しさを増していますが、イオンモールは生活に根付いたショッピングセンターを展開してくれるでしょう。