東南アジアで広がるネット通販事業
新型コロナウイルスの影響により、ネット通販事業は大きく成長しました。
また、最近ではSHEINなどの越境ECも盛んになっており、今後もこの市場は拡大していくと予想がされています。
実は東南アジアでは日本製品と日系商品への需要が高く、越境ECで日系商品を購入する人がとても多くなっています。
なんとEC利用率をみると、タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナムは80%を超えており、日本の74%、世界平均の77%よりも高い数字です。
インドネシアにおいてはトコペディアをはじめとするEC業界のユニコーン企業も誕生しており、EC利用率は90%近くになっているのです。
そのインドネシアで利用率の高いECサイトはシンガポールの「ショッピー」、「ラザダ」とインドネシアの「トコペディア」です。
そしてこのインドネシアでECサイトへの投資が過熱しています。
インドネシア市場の動向
中国系動画投稿アプリ「TikTok」の運営会社であるバイトダンスはトコペディアに75%出資すると発表しました。
TikTokがインドネシアで手掛けるネット通販事業をトコペディアと統合させ、日本円で約2200億円以上を追加で投資するとのことです。
TikTokは今後もトコペディアに出資していくとし、両社が協力してインドネシア製品の魅力を国内外に発信したり、インドネシアの中小企業の支援も行ったりする計画を立てています。
TikTokがトコペディアと組むことで、ネット通販市場の勢力図が大きく変わる可能性はあります。
また、中国ネット通販大手のアリババ集団はラザダに日本円で約925億円の出資を行いました。
ラザダはBtoCのビジネスモデルを中心としており、出店の審査基準が高いと言われています。
「東南アジアのAmazon」と呼ばれることもあるそうですよ。
東南アジアのネット通販市場の競争が激化する中でアリババはラザダへの出資を拡大することでインドネシアでのシェア維持を狙うとしています。
トコペディア、ラザダの競合のショッピーを展開するシンガポールのシーももちろん動いています。
ショッピーは生放送、ゲーム・チャットなどアプリとサイト内のエンターテインメント機能を開発し、マーケティングにも力を入れています。
今後はライブコマース事業への投資を拡大する方針を打ち出しています。
なぜインドネシアなのか?
実はインドネシアの人口は世界で第4位であり、今後も人口が増えていくと予想されています。
また、若い労働人口が多いことも特徴であり、まさに成長している国です。
また、産業構造にも変化が起きており、農林水産業の比率が低下して製造業・サービス業の比率が増加しています。
産業の高度化が進み、所得水準も上がったことで貧困層が減少し、インドネシアの消費市場の拡大につながっています。
インドネシアは今後も生産年齢人口が増え続けると予想されています。
これは今後も安定した個人消費の増加につながる理由にもなりますね。
そのため、若い世代に受け入れられやすいネット通販やネットを使った金融サービスの発展も見込まれているのです。
今後も成長を続けるインドネシアでネット通販のシェアを握ることはアジア全体のシェア獲得につながる可能性もあるので各社は力を入れているのです。
ネット通販事業では残念ながら日本は地位を築くことができていません。
ただ、金融サービスなどは日本に強みがあります。
今後も成長していく市場で日本企業も奮闘してほしいと考えています。