概略
ローリンズはアメリカのジョージア州に本社を置くアメリカで最大規模のペストコントロール(害虫駆除)企業です。
北米、オーストラリアを中心に中米、カリブ海、中東、アジア、地中海、ヨーロッパ、アフリカ、メキシコでも事業を展開しているグローバル企業です。
住宅や商業用施設に害虫やシロアリ駆除サービスを中心に、ホテル、食品サービス、食品メーカー、小売、運送会社など各業界でも事業を展開しています。
ビジネスモデル
ローリンズのビジネスモデルは極めてシンプルなものです。
住宅での害虫駆除と商業施設用の害虫駆除、シロアリ駆除のサービスを手掛けています。
ただ、シンプルゆえに安定しているという強みがあります。
ローリンズの売上の8割はリピート顧客によるものです。
連続的な契約上、飲食店や商業施設が突然契約をやめたり他の企業にスイッチングすることはめったにありません。
そのため、利益を活用した次の戦略が立てやすいというメリットがあります。
また、ローリンズのエリアカバー率は高く、ブランド認知度は非常に高いです。
まさに業界のアイコン的な存在です。
シンプルな事業内容でかつブランド認知度、エリアカバー率が高いローリンズは非常に安定した利益を得ることができるのです。
この安定した利益を活用してローリンズは積極的にM&Aを行い、規模を拡大しています。
害虫駆除というものはマンパワーがものをいうので、それぞれのエリアで小・中規模事業者が障壁を作ってビジネスを行っています。
そのため無理やり競合エリアに参入して疲弊するよりも、既存エリアでの小・中規模事業者を買収していった方が効率が良いという側面があります。
また、ローリンズはIT投資を行い、従業員の業務効率化や決済処理の向上などを行いました。
これによりさらに収益率を高めることに成功したのです。
機械設備などに設備投資する必要はないからこそ潤沢なキャッシュを用いて安定したビジネスを行っている企業といえます。
各種指標
売上高・営業利益
ローリンズの売上高・営業利益・営業利益率を見ていきたいと思います。
グラフを見てもわかるように売上高・営業利益ともに毎年綺麗に増加しています。
これは規模の経済を活かしたビジネスを行っていることと、害虫駆除の需要が伸びているからだと思います。
また、営業利益率も15%以上と非常に高い数字です。
やはり認知度が高いブランドを持っていることとリピート率が高いシンプルな事業は稼げるビジネスだと考えていますので今後も地味ながらも収益を拡大していくのではないでしょうか。
EPS(1株利益)
続いてEPS(1株利益)です。
EPSは1株当たりいくら儲けているかを確認するための指標でこの数字が成長しているほど稼ぐ力を伸ばしていると判断できます。
ローリンズのEPSは順調に伸びていることが確認できます。
これについてもローリンズのビジネスは規模の経済が働いており、安定して拡大しているものだと判断する材料になると思います。
今後の展望とまとめ
以上のようにローリンズは景気に左右されないビジネスを展開し、安定的な収益を計上している企業と言えるでしょう。
将来的にも害虫駆除のビジネスがなくなることはないと思います。
世界的にみても地球温暖化に伴い、当面害虫駆除の需要は増えることはあっても減ることは無いでしょう。
また、シンプルな事業内容だからこそM&Aで規模を大きくすればその分だけ規模が拡大します。
大手企業が買収をして失敗することがありますが、この業界ではそれが起きにくいです。
また、例えば住宅との契約であれば、家の中に入って作業することになるため、ブランド力と顧客からの信頼が必要です。
その結果、一度作業してもらうと、次もまたお願いしたいということになることが多いです。
このような顧客との関係性を築くことでリピート率が高いビジネスモデルが確立しているのです。
今後もローリンズは規模の経済とブランド認知度を活かして毎年安定的な利益を計上していくと考えています。