概略
開発、設計施工・アフターメンテナンス、リフォームまで一貫して行っていることが強みであり、世界一の累積建築戸数を誇る強固な顧客基盤を有しています。
また、省エネと創エネによってエネルギー収支をゼロにする「グリーンファースト ゼロ」や地震に強い「制震構造」といった高い技術力を持っていることも強みです。
事業内容分析
積水ハウスは大きく分けて4つのビジネスモデルと9つのセグメントで事業を展開しています。
その4つの事業とは
- 請負型ビジネス
- ストック型ビジネス
- 開発型ビジネス
- 国際ビジネス
です。
請負型ビジネス
請負型ビジネスは戸建て住宅や賃貸住宅の建築を請け負うビジネスです。
マイホームを建てるといったビジネスがこれにあたります。
戸建て住宅は減少傾向にあるものの、賃貸・事業用の建物は順調に伸びており、安定した収益を毎年計上しています。
最新業績(2023年度第2四半期)は、戸建て住宅は資材価格高騰の影響もあり、売上高・営業利益は減少しましたが、賃貸・事業用の建物は増収となりました。
請負型ビジネスの今後の戦略では、主力である中高級品商品だけでなく、高価格帯の商品を拡大することとセカンドブランドを強化することとしています。
これにより、単価が上がるので結果として請負型ビジネス全体も成長するという計画です。
ストック型ビジネス
ストック型ビジネスは住宅のリフォームや、賃貸住宅経営のサポートを行う事業です。
特に賃貸住宅管理事業は毎年安定した収益が入ってきますので利益を上げやすいビジネスモデルと言えます。
建物のオーナーにとっても管理の手間が省けることから、長期での契約になることが多く、解約も少ないため長期的な利益も見込める重要な領域になります。
ストック型ビジネスの最新業績は売上高・営業利益ともに前年と比べて増加しています。
賃貸住宅管理事業は管理戸数が伸び、入居率も維持できたことから増益となりました。
リフォームも省エネ設備に切り替える依頼が増えたことで増益となり、2つの事業でどちらも成長したと言えます。
ストック型ビジネスの今後の戦略ではリフォームの積極展開と賃貸住宅管理事業の管理戸数を増やしていくとしています。
安定した利益を生み出せるストック型ビジネスは今後カギになりますので注視していきたいと思います。
開発型ビジネス
請負型ビジネス・ストック型ビジネスは大きな投資が不要な事業です。
また、特にストック型ビジネスは安定した利益をもたらしてくれるため、その利益を活用して土地の取得など投資からスタートする「開発型ビジネス」を展開しています。
この事業では主に仲介・不動産事業やマンション事業、都市開発事業を行っています。
特に積水ハウスはまちづくりを大切にしており、まちなみの豊かな地域開発を行っています。
開発型ビジネスの最新業績は前年と比べて増加しています。
特に仲介・不動産事業での不動産販売が好調で売上に寄与しました。
また、都市開発事業で商業・オフィス物件の売却を行ったため大きく増収となりました。
開発型ビジネスの今後の戦略では分譲住宅事業に注力するとしており、次世代に受け継がれる質の高い街づくりをしていく予定です。
マンション事業、都市開発事業も戸建て住宅で培った技術やノウハウを生かして拡大していくとしています。
国際ビジネス
国際ビジネスはその名のとおり、海外事業です。
アメリカ・オーストラリア・イギリス・シンガポール・中国の5か国で住宅事業を展開しています。
アメリカでは賃貸住宅開発事業に注力し、オーストラリアではマンション事業に注力するなど地域別で適切な事業を行うとしています。
また、M&Aも適宜行い、事業規模を拡大する予定です。
国際ビジネスの最新業績は前年と比べて減少しています。
特にアメリカの戸建て住宅事業が金利の高騰により、減少したのが主な要因です。
国際ビジネスの今後の戦略としては各エリアによって異なる商習慣があるため、それに合う戦略を各国の協力会社と共に実施していくとしています。
事業別売上高(計画)
2023年度の通期での売上高計画では3兆800億円を見込んでいます。
事業別にみると、請負型ビジネスとストック型ビジネスで半分以上を占めていることがわかります。
安定した収益が望める事業があるのでそこで得た利益で開発型ビジネスや国際ビジネスを育てるという計画です。
各種指標分析
売上高・営業利益
積水ハウスの近年の売上高・営業利益を見ていきたいと思います。
売上高・営業利益はともに毎年増加しています。
これは請負型ビジネスやストック型ビジネスで安定した利益を確保できるからです。
物価高などでコストも上がっている中、営業利益も伸ばしたというのは評価できるポイントだと思います。
営業利益率も8%前後で推移しており悪くない数字で、安定した事業を毎年行っていることが読み取れます。
EPS(1株利益)
続いてEPS(1株利益)です。
EPS(1株利益)とは1株当たりいくら儲けているかを表す指標であり、この数字が成長しているほど稼ぐ力を増やしていると判断できます。
積水ハウスのEPSは近年毎年増加しており順調に稼ぐ力を増やしていると判断できるでしょう。
ちなみにEPSは自社株買いを実施すると高くなります。
自社株買いは配当を支払ったあとに余裕があれば行う行為ですので、安定的な利益がないと実施できません。
そのため、自社株買いを行ってEPSの金額を高めるというのは事業が順調に進んでいると判断できる行為です。
よってEPSが高いほど良い企業だという一つの判断基準は持っていて良いと思います。
自己資本比率
次は自己資本比率です。
自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標でこの数字が高ければ高いほど安全と言っていいでしょう。
ただこの数字は業種によって大きく変わりますので同業他社と比較することが大切です。(例:金融業は低くなる傾向があるので同業他社と比較することが大切)
積水ハウスの自己資本比率は50%を超えており、毎年わずかながらではありますが増えています。
50%あれば財務健全性に問題はないと言えますので事業継続に不安な点はありません。
配当・配当性向
最後に配当・配当性向です。
積水ハウスは実質累進配当銘柄であり近年は毎年増配しています。
また、第6次中期経営計画では株主還元として
- 中期的な平均配当性向を40%とする
- 配当の下限を110円とする
としています。
配当の下限があるということは安定して110円が配当として払われるということになるので安心して株を保有できる材料になると思います。
また、配当性向は近年40%前後と高い確度で中期経営計画を達成していると判断できますので株主還元に積極的な企業と言えるでしょう。
まとめ
以上のように積水ハウスは安定した利益を生み出す事業と今後の成長のカギになる事業を展開し、株主還元にも積極的な企業と言えるでしょう。
国内の安定成長と海外の積極成長を中期の経営計画としており、その計画を達成するべく奮闘しています。
各種指標も良く、株主還元にも積極的な姿勢を持つ企業のため、今後も応援していきたいと考えています。