概略
カナディアン・ナショナル・レイルウェイはカナダのケベック州に本社を置く貨物鉄道会社です。
収入・経営規模ともにカナダ国内最大の鉄道会社でかつては国有鉄道でした。
大西洋から太平洋までの大陸横断鉄道であり、さらにアメリカを南北にメキシコ湾まで接続する約2万マイルにもわたる鉄道網を持っています。
ビジネスモデル
カナディアン・ナショナル・レイルウェイのアドバンテージは貨物専用の定期鉄道ということです。
石油・化学薬品、金属・鉱物、木材、石炭、農産物・肥料、完成車、自動車部品などの鉄道輸送を営んでおり、事業ポートフォリオが分散されています。
また、取り扱うものが北米の製造業で欠かせないものばかりなので顧客は基本的に他社へ輸送依頼を切り替えることを行いません。
このように安定した事業を行うことができるというのがカナディアン・ナショナル・レイルウェイの強みと言えるでしょう。
さらにカナディアン・ナショナル・レイルウェイはM&Aも行っています。
2021年にはアメリカの鉄道大手のKCサザンを買収しました。
これにより、カナディアン・ナショナル・レイルウェイはアメリカ・メキシコ・カナダの鉄道網を一体運営する企業となりました。
KCサザンはアメリカ中西部やメキシコを結ぶ輸送網を持ち、自動車などの工業製品や農産品の貿易に重要な役割を持つため、カナディアン・ナショナル・レイルウェイはさらに事業基盤を大きくすることになりました。
アメリカ・メキシコ・カナダの3か国の新たな貿易協定(USMCA)発効や供給網(サプライチェーン)の見直しでこの地域での輸送需要は中長期的に拡大が見込まれています。
そのためカナディアン・ナショナル・レイルウェイはサービスを拡大することでさらなる成長が見込まれます。
各種指標
ここからはカナディアン・ナショナル・レイルウェイの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
まず、売上高、営業利益ともに毎年安定した数字を計上しています。
これはビジネスモデルでも述べた通り売上構成比が分散しているため、どこかが不調でもダメージが少ないことが一つの要因です。
また、営業利益率が非常に高いことも特徴でしょう。
40%近い数字は非常に高く、売上の半分近くが本業で稼いだ数字というわけですのでカナディアン・ナショナル・レイルウェイは競争力と利益率が高いビジネスをしていると言えます。
輸送する商品がアメリカの生活・ビジネスに不可欠なものばかりですので今後需要がなくなるとは考えられません。
また、KCサザンの買収でアメリカ・メキシコ・カナダの3地域を網羅することになりますので今後も安定した利益を計上することが予想できます。
今後の展望とまとめ
以上のようにカナディアン・ナショナル・レイルウェイは様々な商品をアメリカ・メキシコ・カナダに輸送することで毎年安定した利益を計上する企業と言えるでしょう。
今後もアメリカの製造業に欠かせない商品を輸送するという役割を担うカナディアン・ナショナル・レイルウェイは不可欠な存在と言えます。
また、ビジネスモデルが単純なだけに規模の経済が働き、顧客は他の企業にスイッチングすることはないでしょう。
さらに鉄道は車に比べて環境にもいいことが特徴です。
鉄道は車(トラック・バス)と比較してCO2排出量が少ないのでエコな輸送手段として注目されています。
現在は環境問題に取り組む姿勢を重視する投資家が多いため、企業としては輸送手段として鉄道を選択することが評価につながることになるでしょう。
そのため、今後カナディアン・ナショナル・レイルウェイはさらに顧客を抱えることになるかもしれません。
鉄道輸送でアメリカ大陸の製造業や生活を支えるカナディアン・ナショナル・レイルウェイ。
今後は環境にやさしい鉄道網を運営する世界的な貨物輸送企業としてさらなる成長を続けるかもしれません。