概略
ブラウンフォーマンはアメリカのケンタッキー州に拠点を置くスピリッツ・ワイン企業です。
スピリッツ・ワインを手がける企業の中でも最も歴史のある企業の一つで現在は170カ国以上で40を超えるブランドの商品を販売しています。
代表的な銘柄としてジャックダニエルやグレンドロナック、ウッドフォードリザーブなどがあります。
日本ではアサヒビールがブラウンフォーマンの商品を取り扱っていますが、2024年3月に終了し、ブラウンフォーマンの日本法人が販売する予定です。
ビジネスモデル
ブラウンフォーマンのビジネスモデルの特徴はM&Aを繰り返して規模を大きくしてきたということです。
1923年に買収したアーリータイムズはその後全米トップのバーボンになります。
また、1950年代には世界一のウイスキーシェアを持つようになるジャックダニエルを買収し、これは今のブラウンフォーマンの旗艦ブランドになります。
その後も買収を続け、アメリカはもちろん世界的に見ても著名なスピリッツメーカーとしての地位を確保しています。
ウイスキーとビールの違い
ブラウンフォーマンスピリッツだけでなくワインも製造していますが、ウイスキー事業が売上の8割を占めています。
ウイスキーとビールの違いは工程に「蒸留」があるかないかです。
蒸留とは液体を熱して出た蒸気を冷やしてまた液体にすることです。
蒸留をすることで液体が濃縮され、アルコール度数が高くなります。
この蒸留されたお酒をスピリッツと言います。
ブラウンフォーマンはウイスキーの強固なブランドを持ち、簡単に模倣するのが難しい工程があるお酒を製造することで他の企業と差をつけてきました。
そのため、利益率が非常に高いです。
また、産業の特徴としてもビールとは異なり、スピリッツの世界は熟成やブランドの技術がものを言うため、参入障壁が高いことも挙げられます。
各種指標
ここからはブラウンフォーマンの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
まず売上は毎年増加しており安定して成長している企業と言えるでしょう。
営業利益率は毎年30%前後と非常に高く「稼ぐ力」が高いと言えます。
日本のキリンの営業利益は約4%前後なのでブラウンフォーマンの数字がいかに驚異的な数字かわかるでしょう。
強固なブランドを持っていることと参入障壁が高い産業であるという要因からブラウンフォーマンは今後も安定した利益を計上すると容易に考えられます。
今後の展望とまとめ
以上のようにブラウンフォーマンは世界で認知されるブランドを展開し、模倣の難しいウイスキーという利益率の高いお酒を扱うことで順調に成長している企業と言えるでしょう。
世界のウイスキー市場は年平均成長率6.34%で拡大しており、2028年までに市場規模は1270億ドル(約18兆円)に達する見込みです。
アジア太平洋が成長著しい地域の一つで、特にインドで人気が高まっています。
日本産のウイスキーももちろんこの市場でシェアを拡大するべく動いていますのでブラウンフォーマンとの壮絶な戦いが行われるかもしれません。
また、ブラウンフォーマンはウイスキーの新たな価値を生み出すべく動いています。
日本コカ・コーラと組み、ジャックダニエルをコカ・コーラで割ったカクテル「ジャックコーク」を缶商品にしました。
日本だけでなくアメリカやメキシコでも販売を行っています。
世界で飲まれているジャックダニエルのうち4割はコカ・コーラなどのコーラ飲料と一緒に飲まれているという情報からこの商品は生まれました。
このようにウイスキー単体を売るだけではなく、コラボを行うことでウイスキーに馴染みのない人にも手に取ってもらえるようにしているのです。
有名ブランドに胡座をかくのではなくさらに市場を拡大すべく常に動き続けるブラウンフォーマン。
今後も規模を広げて新たな市場でもシェアを獲得するかもしれません。