世界の企業研究

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マッチグループ 〜運命の出会いを生み出すテクノロジー企業〜

 

概略

マッチグループアメリカのテキサス州に本社を置くインターネットテクノロジー企業です。

日本でもお馴染みのTinderやMatch.com、Hingeなどグローバルデートブランドを展開しています。

マッチグループの登録者は約930万人でそのうちの460万人がアメリカ人です。

北米が主な市場ではありますが、現在は日本や台湾、インドなどグローバルでも展開していこうとしている企業です。

 

マッチングアプリ市場

マッチングアプリと聞くといわゆる出会い系というイメージから危ない、詐欺などの印象がありました。

しかし、2010年以降の男女の出会いの場はオンラインが1位になり、友達の紹介や家族の紹介などを上回っているのです。

 

出典:https://data.stanford.edu/hcmst2017

 

いわゆるZ世代においてはマッチングアプリを通して友人やパートナーを探すことが当たり前になっている現状があります。

また、アメリカのオンラインデート市場規模は年間5.8%で成長すると予想されており、マッチングアプリ市場もまだまだ拡大していくことが予想できます。

さらにコロナ禍で出会いの場が極端に減った時期はマッチングアプリの利用率が急伸しました。

マッチングアプリの利用時間も世界全体で増加傾向にあると言われています。

 

出典:https://www.statista.com/outlook/dmo/eservices/dating-services/online-dating/united-states#users

 

そしてそのマッチングアプリ市場で現在覇権を握っているのがマッチグループなのです。

 

ビジネスモデル

安定した収益源を確立

現在、ソーシャル系マッチングアプリは乱立している状況です。

その最大手であるマッチグループのTinderは190カ国、40言語以上に対応し、ダウンロード数は約4億5000万回にも上ります。

また、マッチ成立件数は650億回以上で1週間のデータ件数は150万回になるとのことです。

利用者層としては18〜25歳のいわゆるZ世代が50%を占めています。

Tinderのビジネスモデルは有料メンバーによる会費収入が全体の売上の95%を占めており、広告収入は5%です。

景気の動向に左右されやすい広告収入には頼らず安定した収益源を持つのが特徴と言えます。

有料メンバーは一定時間内にlikeの上限数が増えたり一定時間自分のプロフィールを他のメンバーに優先表示させたりすることができ、マッチング確率が上がるようにしています。

また、Super Likeやブーストという課金制のサービスも導入しており、このサービスの売り上げも増加しています。

 

틴더, ‘슈퍼 라이크’로 데이트 매칭 확률↑ - ZDNet korea

 

目的に合わせたサービス提供

マッチングアプリは参入障壁が低いために非常に競合が多い状況です。

また、アプリの特徴やマッチング方法も多岐にわたるためユーザーも「恋愛」「結婚」「遊び」など目的に応じてアプリを使い分けています。

そのためマッチグループも様々なブランドを展開しています。

 

「OurTime」:アメリカの50歳以上の独身者向けの出会い系アプリ

「Meetic」 :欧州15カ国で最大級のシェアを誇る出会い系アプリ

「Pairs※」:日本、韓国、台湾、タイでシェアを誇る出会い系アプリ

※Pairsは日本の企業が開発したアプリですがマッチグループに買収されました。

 

各種指標

 

ここからはマッチグループの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。

まず売上は毎年増加しており、成長しているといえるでしょう。

しかし、営業利益率は2022年まで減少をしています。

これはマッチグループは現在グローバル展開にも力を入れており、それに伴う人件費やマーケティング費用が増加していることが考えられます。

ただ、2023年予想では増加を見込んでおり、グローバル展開に手ごたえを感じているのかもしれません。

出会い方が変わりつつある現在の世界でシェアを拡大していることと最大手の企業というブランドがあるので今後も売上高、営業利益を順調に伸ばしていくかもしれません。

 

今後の展望とまとめ

以上のようにマッチグループは乱立するマッチングアプリ市場において目的に応じたブランドを展開するとともに、会員収入で安定した利益を得るビジネスモデルを確立している企業と言えるでしょう。

マッチグループとしてはアメリカ内での浸透度はかなり高まっているので今後はまだマッチングアプリの普及が遅れている台湾やインド、東南アジアの3つを戦略的ターゲットとしています。

また、もう一つマッチグループが考えなければならないこととしてユーザー数があります。

マッチングアプリというビジネスモデルの仕組み上、ユーザーはパートナーを見つけ次第サブスクリプションを解約することが想定されます。

また、アプリはプランごとに分かれており、プランごとに月いくらという形です。

そのため課金額には上限があるのでとにかくユーザー数を増やすことがカギになります。

マッチグループはM&Aも積極的に展開し、「利用者を買う」ことでシェアを拡大しています。

ただ、競合としてアメリカのBumbleや中国のTanTanといった急成長している企業やFacebookといった大企業もアプリを展開しており今後もマッチングアプリ戦国時代は続きそうな予感があります。

 

 

また、展開しているブランド全てが順調というわけでは無いので今後は不採算ブランドの撤退など経営層の迅速な判断が必要になるかもしれません。

しかし、アクティブユーザーであるZ世代にとってマッチングアプリはスタンダードな位置付けであり、コロナ以降もユーザーは増えていくでしょう。

そのためシェアが大きいマッチグループの提供するアプリのユーザーも順調に増えていくと予想しています。

運命の出会いの場を提供しているマッチグループ。

オンラインでの出会いが全世界でスタンダードになる日は近いかもしれません。