概略
ユナイテッド・レンタルズはアメリカのコネチカット州に本社を置く機器レンタルで世界最大手の企業です。
アメリカとカナダを中心に事業を展開し、高度に細分化された市場でおよそ15%の市場シェアを有しています。
また、堅調な成長を続けるアメリカ経済や連邦政府の大規模なインフラ投資を背景に急成長を続ける企業です。
1997年の創業以来、同業相手の買収や合併を続け事業規模を拡大しています。
ビジネスモデル
ユナイテッド・レンタルズは産業・商業・住宅建設といった分野の企業が使用する大型機器をレンタルしています。
ブルドーザーや掘削機、タワークレーン、地ならし機、ダンプカーなどの重機は購入、維持管理、保険などに高額の費用がかかります。
さらにそのような機械は必ずしも毎日使用するわけではないこともさらに所有コストを高くしています。
しかし、ユナイテッド・レンタルズと契約をすれば全てを簡略化できるのです。
作業員は必要になったときに必要な期間だけ、メンテナンスされた機械を使用できます。
ユナイテッド・レンタルズのクラウドベースの危機管理ツールである「トータルコントロール」システムでは、顧客が数回のマウスクリックで簡単に機械情報にアクセスし、レンタルすることができます。
このシステムは完全にデジタル化されており、24時間年中無休で利用可能です。
また、スマートフォンのアプリも展開しており、スマホアプリ1つでレンタルすることが可能です。
このように建設会社の経費節約ニーズにマッチしたビジネスを展開することでユナイテッド・レンタルズは成長を続けてきました。
また、ユナイテッド・レンタルズはM&Aも積極的に行って規模を拡大してきました。
250件以上の買収を実施し、地域の小規模のレンタル会社をより大きなユナイテッド・レンタルズのネットワークに組み込むことでその買収を拡大につなげているのです。
規模が大きくなることで機械の購入価格の交渉を有利に進めることができます。
その結果、レンタル価格を下げることができ、競合に勝つことが可能になるのです。
ユナイテッド・レンタルズは内生的な成長に加え、多くの買収を繰り返すことで現在も成長を続けています。
各種指標
ここからはユナイテッド・レンタルズの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
まず、売上高、営業利益ともにコロナ禍の2020年を除けば安定して増加しており、順調に成長している企業と言えるでしょう。
また、営業利益率が20%超というのは非常に良い数字であり、競争力のあるビジネスを行っていることが読み取れます。
コストを抑えるとともに優れたサービスを顧客に提供するという当たり前ですが難しいことを実践している企業と言えますし、このビジネスモデルが続く限り安定した収益を今後も計上できると予想できます。
今後の展望とまとめ
このようにユナイテッド・レンタルズは優れたビジネスモデルとM&Aを行い規模を拡大することで建設会社のコストカットのニーズに応える企業と言えるでしょう。
今後建設市場は2022年から2030年にかけて年平均成長率10.9%で成長し、2030年には176億ドルになると予想されています。
発展途上国の急速な都市化に伴うインフラ整備や、知識集約による生産性の向上が市場拡大の要因として挙げられます。
また、アメリカ政府による大規模なインフラ投資はユナイテッド・レンタルズにとって追い風になるでしょう。
景気の先行き不透明感が高まる中で経費節約ニーズにマッチしたビジネス展開もさらに追い風になるかもしれません。
そのため、建設機械のレンタルの需要はまだまだ伸びると考えられ、ユナイテッド・レンタルズも順調に成長していくと考えられます。
機械レンタルという企業の経費節約ニーズに応え、経済活動を円滑にするユナイテッド・レンタルズ。
今後も優れた経営戦略を続けることで世界最大手の地位が揺らぐことはなさそうです。