世界の企業研究

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Anker ~選択と集中でグローバルブランドに〜

概略

Ankerは中国に本社を置くモバイルバッテリー等のスマートフォンタブレット関連の製品の開発・販売を行うハードウェアブランドです。

AnkerはGoogleでエンジニアとして働いていたスティーブン・ヤンを中心に、Google出身の数名の若者達によって設立されました。

姉妹ブランドとしてSoundcoreなどがあります。

 

ビジネスモデル

Ankerの成功の要因としてあげられるのが選択と集中です。

このビジネスモデルを貫くことで急成長を遂げてきました。

その「選択と集中」について詳しく見ていきたいと思います。

 

製品戦略

スマートフォンの充電器は純正品だと安心ですが値段が高く、安価なものだと性能が優れていないという現実がありました。

そこでAnkerは高価格な純正品と粗悪な低価格品の中で第3の選択肢として高品質で手に取りやすい価格を展開し、支持を集めてきました。

実際にAnkerの製品は純正品よりも安く、さらに品質も良いです。

また、シンプルなデザインを採用していることも戦略の一つでしょう。

 

アンカー anker モバイルバッテリー マグネット 充電器

 

 

チャネル選択

Ankerは初期はAmazonを主軸として展開していました。

Amazon内でAnkerというブランドの認知を広げ、その後他のECプラットフォームや直営店舗に販路を拡大しています。

実際にモバイルバッテリーや充電器をAmazonで検索すると上位に必ずAnkerの商品が出てきます。

Amazonという巨大なネットワークの中で認知されることで国際的なブランドにつながるため、Ankerはあえて Amazonを主体として製品を展開してきました。

 

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顧客体験

Ankerはレビューや口コミを非常に重視しています。

カスタマーサポートを内製化し、日本国内だけでも年間20万件の問い合わせに対応しています。

これはレビューを資産とみなし、顧客の声をすぐに商品に反映させるという意識があるからです。

AnkerではAmazonの商品ページにつけられた星3つ以下の評価をネガティブレビュー、星4つ以上の評価をポジティブレビューに分類し、その割合の変化を注視しています。

ネガティブな割合が高まっている場合は商品の不具合が発生している可能性があり、詳細を確認して対応します。

レビューを重視することで素早い対応を行うことができ、結果として顧客満足度は高まります。

また、次世代の商品ではレビューを参考にしてさらに顧客満足度の高い商品を提供できるのです。

とくに日本のレビューは重要視されているようです。

日本は細かい点でも評価が下がり、同じ商品でも他国と比べて点数が悪くなるケースがあります。

例えば箱が潰れているといった商品そのものとは関係のないことでも評価は下がります。

その場合は箱の強度をあげるなどすぐに対応するのです。

日本は品質に厳しいため、日本で星4つ以上の評価を得られれば他国では星5つが取れるという目論見もあります。

これがAnkerのブランドを高めている理由でもあります。

 

SNSアイコンとマンガ広告①|MANGA FACTORY

 

各種指標

 

ここからはAnkerの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。

まず売り上げは毎年増加しており、完全な右肩上がりです。

しかし、営業利益率は逆に下がっています。

その理由として世界的な半導体不足が挙げられます。

2023年11月現在では半導体不足が解消されつつありますが2021年、2022年は世界的にも半導体の供給が追いつかない状況でした。

また、輸送費の増加や半導体自身の値段も上がるということもありました。

さらに、ECにおける顧客獲得のためのマーケティングコストの増加などもあり、売り上げは上がったものの、コスト増により営業利益は減少したと考えられます。

しかし上記でも述べたように半導体不足は解消されているため今後はマーケティングコストなどを抑えていけば営業利益は今後伸びていくと予想されます。

 

今後の展望とまとめ

以上のようにAnkerはAmazonというネットワークで認知度を高め、顧客からのレビューに基づいて製品の質を上げるという選択と集中を徹底してきた企業と言えるでしょう。

現在ではモバイルバッテリーやスマホ関連の製品だけでなく、幅広い商品を展開しています。

また、Amazon以外のECプラットフォームにも出品するなど販路の拡大も行っています。

しかし、根底にあるAmazonとレビューを重視するという姿勢は今後も変わらないでしょう。

Amazonの利用者は全世界にいるため、他のECプラットフォームよりも規模が全く違います。

そのため、今後もAnkerはAmazonでの存在感を高める努力を惜しまないと感じています。

選択と集中で世界的ブランドとなったAnker。

今後も顧客満足度の高い製品を提供してくれるに違いありません。