概略
シンタスはアメリカのオハイオ州に本社を置くユニフォームレンタル会社です。
サービス業や製造業で従業員が着る制服の洗濯・クリーニングと配送、管理を行っており、北米でのシェア1位を誇る企業です。
また、制服レンタルで築いた顧客に対してエントランスマットのクリーニングやタオルなどの交換も行い付加価値サービスも提供しています。
長期的な関係を持つビジネスのため安定した利益を毎年計上している企業です。
ビジネスモデル
シンタスのビジネスモデルは非常にシンプルで、顧客のユニフォームを洗濯・クリーニング・管理を行うというものです。
顧客にとっては制服の洗濯やクリーニング、管理のすべてをシンタスが行ってくれるため、自社で行う必要がなくメリットがあります。
また、従業員個人に洗濯などを任せるとどうしても個人差が生じてしまいますが、シンタスに任せれば衛生面の問題もありませんし、在庫の管理も不要のためその分のリソースを他のことに割くことができます。
このようなメリットを享受できるため顧客は基本的に契約を長期間続けますし、それによってシンタスは安定した利益を上げることができます。
シンタスはそれに加えていわゆる「ついで需要」も取り込もうとしています。
例えばエントランスマットのレンタルやクリーニングサービスです。
特にアメリカでは店舗の入り口付近で雨の日に滑って訴訟なんていうこともよくあることなのでエントランスマットは非常に重要なものなのです。
制服のクリーニングをシンタスに任せるついでにエントランスマットも任せてしまおうという需要をうまく取り込んでいるのです。
さらに競合企業はシンタスの制服回収拠点の密度に対抗する術を持たず、価格面でもシンタスが優れているためシンタスが規模をさらに拡大できることになるのです。
また、M&Aも積極的に行っています。
2017年には競合である市場シェア4位のG&Kサービスを買収しました。
この買収で17万人の新規顧客が加わり、結果として規模の経済が働いています。
ビジネスモデルがシンプルであるがゆえに規模の拡大が業績にダイレクトに影響をするのです。
さらにシンタスはAEDや安全製品も販売しており、この部門に関して2015年にはZEE Medical Incを買収しました。
AEDや安全製品はコンプライアンス面で不可避な領域であり、このような製品の販売とトレーニングセットは収益の予測性が高いのが特徴です。
そのためこの買収で規模を拡大しただけでなく、利益率も高めることができているのです。
各種指標
ここからはシンタスの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
この図から見てもわかるようにシンタスの売上、営業利益ともに毎年増加しています。
ここからシンタスが非常に安定したビジネスを行っており、堅調に成長している企業と言えるでしょう。
また、営業利益率も毎年増加しており、20%前後という高い数字です。
10%を超えると優良企業と言える一つの目安ですのでシンタスの数字は非常に高いと言え、間違いなく優良企業と言えます。
ビジネスモデル的に顧客との契約は長期にわたって続きますので毎年安定した収入を見込めることが大きいです。
さらにM&Aで規模を拡大していくことによってさらに収益も拡大していくので今後も順調に成長していくと考えています。
今後の展望とまとめ
以上のようにシンタスはユニフォームのレンタルという顧客と長期的な関係になるビジネスモデルを規模を拡大しながら行うことで毎年安定した利益を計上する企業と言えるでしょう。
ただし、不景気によって従業員が減少すると着用するユニフォームの数も減るので不景気になるとシンタスも業績を落としてしまう可能性はあります。
また、従業員ではなくロボットを使用する企業が増えることになるとこれもシンタスにとってはダメージを受けることになります。
ですが、アメリカの経済にとっても失業者が増えるのはよくないことですので従業員全員がロボットに変わることはまずないでしょう。
そのため北米で圧倒的なシェアを誇るシンタスはこの先も安定したビジネスを展開すると考えています。
安定したビジネスを展開し、サービス業や製造業を支えるシンタス。
今後も地味ながらも企業にとっては欠かせない企業として安定成長していくでしょう。