概略
エクソンモービルはアメリカのテキサス州に本社を置く総合エネルギー企業です。
世界200か国以上で事業を展開している石油メジャー最大手であり、スーパーメジャーと呼ばれる企業の一つです。
21か国に38の石油精製所を展開し、毎日の石油精製量は630万バレルになります。
エクソンモービルが保有している石油埋蔵量は2007年末で720億バレルとされ、これは現在の生産量で14年以上持つとされています。
世界的なブランドして、「エッソ(Esso)」「エクソン(EXXON)」「モービル(Mobil)」があります。
ビジネスモデル
石油・エネルギー市場の現状
世界の石油需要はここ数年下がり続けています。
その理由としては中国をはじめとする新興国の成長率減速による需要の伸び悩みやアメリカでの大幅なシェールオイル増産など全世界的な供給過剰感があげられます。
スーパーメジャーと呼ばれる世界を代表する石油メジャーの純利益もそれに伴って減少をしています。
また、ヨーロッパやオーストラリアにおけるガソリン車の販売禁止が予定されていたり、石油製品の需要が減少に転じていることから石油メジャーにとっては逆風が吹いているのが現状です。
そのため、石油メジャーは需要減少が見込まれる先進国地域での事業を縮小し、今後の経済成長が見込まれるアジア地域へ注力し全体の需給バランスを最適化するために対応を進めています。
エクソンモービルの強み
エクソンモービルは世界上位30か国に引けを取らない財務力を持ち、世界200か国以上でエネルギービジネスを展開する企業です。
年間の売上高はなんとタイやシンガポール以上のGDP以上になります。
その強靭な財務力と圧倒的な技術力を駆使し、アメリカの一企業にもかかわらず独自の外交や政治活動を展開するほどの巨大企業です。
1999年に石油会社最大手のエクソンが同じく大手のモービルを吸収合併し、エクソンモービルという世界最大の石油ガス生産会社が誕生しました。
この合併はもともと北米とヨーロッパに偏っていたエクソンの活動範囲をアフリカやアジア、中東、南米などへと広げ、国際政治経済に大きな影響力を与える企業へ成長させました。
石油メジャーの中でもエクソンモービルはシェールガス開発に積極的に投資をしています。
国内外でシェールガス開発に絡む企業のM&Aを行ったり、水平掘削と水圧破砕の技術を蓄積したりしています。
特にエクソンモービルはテキサス州やニューメキシコ州のシェール開発には極めて有利な地域を抑えています。
全体としても石油メジャーは強固な財政基盤を武器にアメリカ・カナダではシェールオイルよりも、シェールガスの開発に重きを置いているようです。
各種指標
ここからはエクソンモービルの売上高の推移を見ていきたいと思います。
まず売上高ですが2020年に減少したもののその後は回復基調です。
2020年の減少は新型コロナウイルスによって原油の需要が減り、価格が下落したことが主な要因です。
2021年になり少しずつ原油の需要が回復してきたため、売上高は増加しているといえるでしょう。
今後は世界的な情勢などの要因によって石油の需要が大幅に伸びるとは考えにくいですが、全く需要がなくなるということも考えられません。
そのため、エクソンモービルは毎年安定した利益を上げることができるでしょう。
今後の展望とまとめ
以上のようにエクソンモービルは逆風の石油エネルギー業界の中でも強固な財務基盤と技術力で今後も安定した利益を計上する企業と言えるでしょう。
また、逆風を受けるだけでなく、エクソンモービルも新たな市場に参入しようとしているのです。
それがリチウム生産です。
EVによってガソリンから電池へと変わりつつある自動車業界は石油メジャーにとって重要な市場のため、ここで新たなシェアを取ろうとしています。
ちなみに、石油メジャーがリチウムの大規模生産に乗り出すのは初めてです。
リチウムは希少金属で、リチウムイオン電池の製造に使用します。
EVの増加でリチウム需要は2030年までに4倍になると言われており、供給不足の可能性があります。
エクソンモービルは自社で培った石油開発の掘削技術がリチウム生産に活かせると考えており、この市場に乗り出しました。
今後エネルギー業界は「ビッグ・オイル」(石油メジャー)から「ビッグ・ショベル」(大手鉱山会社)の時代に移っていくとの意見もあり、新たな市場開拓を進めるエクソンモービルはその対応を急いでいるといっていいと思います。
私たちの生活に欠かせない石油エネルギーを精製するエクソンモービル。
未来の生活もエクソンモービルのおかけで発展していくかもしれません。