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サカタのタネ銘柄分析 ~海外売上比率7割を超える種子メーカーの企業研究~

概略

サカタのタネは神奈川県横浜市に本社を置く種子・苗木メーカーです。

世界170か国で事業を展開しており、海外売上比率は70%を超えています。

種苗は国内首位級で、ブロッコリーの世界シェアは6割を超えています。

創業当時から海外事業を行っており、隠れたグローバル企業と言えるでしょう。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/about-us/sakata-seed.html

 

事業内容分析

サカタのタネは国内でも海外でも卸売事業を行っており、小売事業も行っています。

取り扱う種子も幅広く野菜種子や花種子、苗木、球根、資材を展開しています。

園芸店やホームセンターでのイメージが強いですが、他にも学校や公園、レストランやホテル、競技場の芝生など私たちの生活の身近なところにもサカタのタネは使用されているのです。

また研究開発に強みを持ち、アンデスメロンサカタのタネが開発しました。

他にも見た目の良い花やおいしさを高めた野菜の種子を開発しています。

最新の業績(2023年5月期)では海外卸売事業が業績をけん引し、前年と比べて売上高は増加しています。

理由としては為替の影響もありますが、野菜の種子が大幅に増大したことがあげられます。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

また、地域別にみても日本を除く全地域で増加しており、事業の好調さがうかがえます。

ただ、為替の影響を除くと売上が減少している地域がありますのでこの点は注意が必要です。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

各種指標分析

売上高・営業利益

https://irbank.net/E00006/results#c_1を参照し作成

 

サカタのタネの売上高・営業利益・営業利益率を見ていきたいと思います。

まず、売上は毎年増加しています。

理由としては上記にも述べましたが、海外卸売事業が非常に伸びていることがあげられます。

為替の影響もありますが、海外の全地域で売上が伸びています。

野菜・花どちらも売上を伸ばしているのでバランスよく稼いでいると考えていいと思います。

 

EPS(1株利益)

https://irbank.net/E00006/results#c_6を参照し作成

 

次はEPS(1株利益)です。

EPSは1株当たりいくら儲けているかを判断する指標で、この数字が成長しているほど稼ぐ力を増やしていると判断できる重要な指標です。

サカタのタネのEPSは2022年以降減少しています。

これは売上は増加したものの、販管費も増加したことにより、当期純利益が伸びなかったことが主な要因です。

ただ、販管費の増加というのは将来の成長に資する知財・人財強化に充てる費用のためなので納得のできるものです。

今回の減少を大きくマイナスととらえる心配はないと思います。

 

自己資本比率

https://irbank.net/E00006/results#c_12を参照し作成

 

続いて自己資本比率です。

自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標で高ければ高いほど安全と言えます。

サカタのタネ自己資本比率は80%を超えており非常に高い数字です。

財務基盤は鉄壁と言えるでしょう。

手元キャッシュも十分に確保されており、事業継続になんの不安もありません。

 

配当・配当性向

https://irbank.net/E00006/results#c_24を参照し作成

 

最後に配当・配当性向の推移です。

サカタのタネは2015年以降は減配がなく累進配当を続けています。

事業も順調に伸長していますので今後の増配も期待できそうです。

また、配当性向は20%前後であり、配当に回せる利益の余裕があることも株を保有する理由になると思います。

サカタのタネ株主優待も実施していますのでその点から投資を検討するのもいいと思います。

 

グローバルな成長に向けた取り組み

インド市場の可能性

サカタのタネは海外売上比率が7割を超えていますが、さらにグローバルで成長するべくインド市場の開拓を行っています。

インドは人口が今後も増えると予想されており、成長市場として注目されているためです。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

インドは野菜を中心とした食生活であり、国民の約6割が菜食主義者と言われる野菜消費大国です。

また、家庭や寺院では花が大量に使用されており、花を多用する文化を持つ国でもあります。

サカタのタネとしてはインド市場で確固とした地位を築くことができれば大きな利益を獲得できることになります。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

 

サカタのタネのインド市場における戦略としては

  • 他社との差別化
  • 研究開発の強化
  • ガバナンスの強化

を基本としています。

 

他社との差別化戦略

インド市場での戦略の一つとして他社との差別化があります。

商品ラインナップは高収益品目を集中して展開することで差別化するとしています。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

また、野菜における新市場を開拓することでも差別化を図るとしており、生産者への情報提供や消費者へ料理レシピを提供するなど生産から消費まできめ細かく普及活動を行うとしています。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

 

花においては新種の開発を行うことで新たな市場を開拓するとしています。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

トロピカル地域の可能性

サカタのタネのもう一つのグローバル戦略としてトロピカル地域での取り組みがあります。

トロピカル地域も今後人口が増えると予想されており、2050年には世界の人口の半数が生活する巨大な市場になるとされています。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

トロピカル地域の潜在的な需要は高いですが、厳しい自然環境や栽培技術の未発達などハードルが高いという現実もあります。

そのため、まずはインドでの成功を実現し、それを足掛かりにしてトロピカル地域、特にアフリカへ進出する計画を進めています。

 

https://corporate.sakataseed.co.jp/ir/library/hjk89n0000000fgr-att/SAKATA20230727_82_briefing.pdf

 

まとめ

以上のようにサカタのタネは海外事業が好調で売上を伸ばしており、財務基盤も優秀な数字を維持している企業と言えるでしょう。

営業利益率も10%を超えており、競争力を有したビジネスをしているため今後もグローバルでサカタのタネが使用されると考えています。