ウォーレン・バフェットという人物
ウォーレン・バフェットは世界でも指折りの資産家であり、資産のほぼすべてを株式投資によって築いている現役の投資家です。
株によって大儲けしている人物ですが、日々の暮らしはとても質素な倹約家という一面もあります。
「投資の神様」「オマハの賢人」と称されることもあるバフェットですが、その投資方法は非常にシンプルです。
彼の投資哲学について順に書いていきたいと思います。
バイ・アンド・ホールド
バフェットの投資の特徴の1つは銘柄選びにあります。
「バイ・アンド・ホールド」という株式を長期的に保有する手法で資産を増やしてきました。
これはデイトレードのように短期間で株式の売買を繰り返すのではなく、長期的な成長が見込める企業を予想し、その成長過程を楽しみながら資産を増やすことを目的とした投資方法と言えます。
アメリカがITブームに沸いた2000年ごろ、他の投資家が関連企業の株を大量に売買しているのに対してバフェットは購入しませんでした。
その後ITブームがバブルのようにはじけ、バフェットのバイ・アンド・ホールドが評価されるようになります。
バフェットは短期的な売買によってお金を増やすことには興味がないといえるでしょう。
ファンダメンタルズに着目
バフェットは投資先を決める際に、企業のファンダメンタルズに着目します。
ファンダメンタルズとは企業の事業内容や業績といった経営の基礎的条件のことです。
そしてそれを基に自分が有望だと思える企業に投資を行います。
この投資方法は政治・経済の動向やトレンドに惑わされることなく、企業の内側を見るというシンプルなものです。
また、バフェットは株価は企業の価値が反映されたものだと考えています。
優良な企業であれば株価の短期的な変動はあっても長期的に見れば上昇すると考えているのです。
つまりバフェットにとって重要なのは景気などの外的な要因ではなく、企業そのものなのです。
価格と価値
投資の世界では、価格と価値が大きく異なっていることがあります。
価値のある優良企業が低価格で取引されることや、逆に先行きが不透明な企業が高値で取引されていることもあります。
バフェットはこの価格と価値について「価格とは何かを買うときに支払うもので、価値とは何かを買うときに手に入れるものだ」と言います。
つまり株価が同じでも企業の価値は違うということです。
バフェットは価格と価値の差に焦点を当て、価値のある企業を見抜いて投資を行っているといえるでしょう。
素晴らしい企業を選ぶ
バフェットは1965年に現在会長兼CEOを務めるバークシャー・ハサウェイを買収しました。
ハサウェイ社は当時、綿紡績事業を行う企業でしたが戦後の経営難により株価が低迷していました。
バフェットはそこに目を付け投資をしたのですが、事業立て直しを図るも業績は回復しませんでした。
バフェットはその後ハサウェイ社を投資会社として再生させますが、この経験はバフェットに大きな影響を与えます。
それは「まずまずの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をまずまずの価格で買うことの方がはるかによい」ということです。
つまり、利益を得るためには目先の資産価値よりも値段が高くてもブランド力があり成長の見込める企業に投資することが大事なのです。
自分の頭で考える
投資にはリスクがつきものです。
リスクについてバフェットは「リスクの大きさは投資する本人が企業をどの程度理解しているかで決まり、それは自分が何をやっているかよくわからないときに生まれる」と語っています。
つまり他人の意見を聞くより自分が信頼する企業に投資する方がリスクは少ないのです。
バフェットは1973年にワシントン・ポストの株式を購入していますが、その当時の株価は政治的な圧力により暴落していました。
それでもバフェットが投資したのはワシントン・ポストになんの問題もないと判断したからです。
バフェットは世間ではリスクがあるとみなされた企業でも自分がよく考えた上で投資を行うことで結果的に成功を収めました。
基本に忠実に
バフェットには師として仰ぐベン・グレアムという投資家がいます。
バフェットはグレアムの「賢明なる投資家」という本に大きな感銘を受け、グレアムの投資の原則を忠実に守っています。
その原則とは、
- 会社の中身を見ること
- 長期保有すること
- 価格と価値の差を見ること
です。
この理論の特徴はシンプルでわかりやすいことです。
しかし、バフェットはグレアムの理論を忠実に守っている人は少ないと言います。
バフェットは19歳の時に出会った理論を70年以上にわたって守っており、この継続力がバフェットの成功につながったのです。
また、バフェットは「時代遅れになるような原則は、原則ではありません」と語り、いつの時代でも原則に忠実であることの大切さを語っています。
1960年代に好成績をあげるバフェットを上回る成績を残していた投資家にフレッド・カーという人物がいました。
彼のスタイルはバフェットの投資法とは対照的に、新たな企業に短期間投資することで利益を得ようとするものです。
一時はカーの投資法が持ち上げられましたが、ほどなくしてカーは廃業しました。
グレアムの原則を守り続けたバフェットはこの結果を受けてさらに評価を高めました。
まとめ
常に自分流の投資法にこだわり、好成績を残してきたバフェット。
彼はグレアムの原則を基軸としながらも時には対照的な手法、大胆な方針で投資を行っています。
独自の投資法の1つは「集中投資」を行うことです。
彼は確信の持てる企業を少数選び抜き、その銘柄を大量に購入しています。
これは投資業界やグレアムの理論でも原則とされている「分散投資」とは対照的な運用方法です。
「集中投資」のメリットはそれぞれの銘柄に時間とエネルギーを集中させることができる点にあります。
幅広い銘柄に分散して投資するよりも自分が信頼する銘柄に集中して投資を行う方がリスクが少ないというバフェットならではの理論です。
ですが基本的にはグレアムの投資理論を忠実に、そしてぶれることなく守っています。
自分の投資の軸を持ち、その原則に従って投資を行うという姿勢は投資だけでなく普段の生活でも見習うところが多いと思います。
(参考文献:毎朝5分で学ぶ投資の神様「ゼロ」からの心得!バフェットの教え見るだけノート 監修:濱本明 株式会社宝島社)