世界の企業研究

世界の企業を知っていこう

ネスレ 〜世界最大の食品・飲料会社〜

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概略

ネスレは1866年にスイスで設立された菓子、ミネラルウォーター、乳製品をはじめとする食品・飲料メーカーです。

創業者はアンリ・ネスレという薬剤師で、母乳で育つことのできない新生児のためにベビーフードを開発したところからネスレの歴史は始まりました。

現在は188カ国で製品を販売し、2000以上のブランドを持つ超巨大企業となっています。

また、2021年の「世界食品メーカー売上高ランキング」では1位を獲得しており、正真正銘の世界No. 1の食品メーカーです。

 

ビジネスモデル

ネスレは非常に多くの数のブランドを持っているため世界的な認知度が圧倒的です。

日本では「ネスカフェ」や「キットカット」が有名ですが、他の国では違うブランドの認知度が高かったりします。

例えば、調味料の「マギー」というブランドをご存知でしょうか?

実はこの「マギー」、西アフリカでは1日約1億個も売れる商品なんです。

「マギー」とは牛と香味野菜の旨みを凝縮した旨み出汁、すなわちブイヨンです。

この「マギー」には鉄分が入っており、鉄分やヨウ素が不足しているアフリカの人々にとってはありがたい商品となっています。

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また、ペリエというミネラルウォーターのブランドは欧州で非常に有名です。

映画のワンシーンを思い浮かべてみてください。

欧州のレストランで食事をするときに、緑色の瓶に入ったミネラルウォーターがテーブルにあるシーンがなんとなくイメージされないでしょうか?

欧州の多くのレストランは「ペリエ」を置いています。

着席と同時に水か炭酸水を頼むのが習慣となっており、炭酸水といえば「ペリエ」というわけです。

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このようにネスレは世界中の人々の生活に根付いており、これがネスレの最大の強みになります。

また、アフリカの例のように開発途上国への展開の速さが非常に早く、新たな市場開拓にも挑戦し続けている企業と言えるでしょう。

 

ブランド

ネスレには「キットカット」や「ネスカフェ」や先に述べた「マギー」、「ペリエ」といったブランドがあり、その数は2000以上です。

【ネスレブランド 】ロスチャイルド系:超巨大企業 ※ヤバイ『ネスレ』 : 日本が泣いている

また、ネスレというブランドも価値を持っており、「最も価値があり強いスイスブランド」の称号を何度も獲得しています。

2018年にはスターバックスの店舗以外で販売される同ブランド製品の世界販売権を獲得するなど、新たな顧客開拓にも成功しています。

このように世界での認知度やブランド価値が高いネスレは圧倒的な「強さ」を持つ企業だと言えるでしょう。

 

各種指標


ネスレの近年の業績がこちらです。(単位は百万スイスフラン

1スイスフランが約165円なので、2021年は約14兆円の売り上げを誇っています。
(2023年10月時点の為替レートで計算しています)

毎年平均して10兆円以上を稼ぐ食品会社は異常と言っても過言ではありません。

ちなみに、日清食品の2021年の売上高は約5,100億円です。

この数字からネスレの規模がどれほどのものかわかりますね。

また、営業利益率も食品会社としては驚異的な数字です。

毎年15%前後の営業利益率をたたき出す企業はなかなかありません。

食品会社ならなおさらです。

日本の食品メーカーの営業利益率の平均は5%前後ですのでネスレは単純に約3倍稼ぐ力があると判断できます。

これらの数字から、ネスレは本業で稼ぐ力が非常に高い企業だといえるでしょう。

 

今後の展望とまとめ

以上のように、ネスレは圧倒的なブランド力と新市場開拓戦略で安定した利益を上げる超巨大企業です。

また、日本ではコーヒーメーカーを安価で提供し、カートリッジで稼ぐというサブスクリプション型の事業モデルを展開し、成功しています。

売り切りのビジネスモデルよりも継続的・安定的に利益を上げるビジネスモデルに転換することで、今後も巨大企業という地位は揺るぐことはないでしょう。

また、何度も述べていますが、ネスレの最大の強みは世界中の人々の生活に深く入り込んでいることです。

世界中の日常生活に分散してビジネスを展開しているため、景気がよかろうと悪かろうと安定した利益を上げることができます。

景気が悪くなろうとペリエは売れるでしょうし、政情不安があってもアフリカの人々はマギーを買うでしょう。

世界の生活に分散して根付いている企業は世界にほとんどありません。

世界の生活に欠かせない企業ともいえるネスレ

今後何百年にわたって続く企業になるかもしれませんね。