概略
レゴはデンマークに本社を置く玩具会社です。
非上場企業であり、創業者一族のクリスチャンセン家が運営する持株会社と財団法人が全株式を保有しています。
レゴ社の本社にはジムやミニゴルフコース、宿泊施設や屋上庭園があります。
これはレゴという子供の想像力を育む玩具を作る会社の社員に遊び心のある職場で働いてほしいという経営層の意向があります。
働くためだけの場所というイメージではないところにレゴらしさを感じられます。
また、レゴは世界中で販売されており、世界で愛される玩具と言えるでしょう。
ビジネスモデル
レゴの特徴
レゴは多くの方がご存じのとおり、プラスチックブロックを積み重ねて作品を作ります。
レゴブロックのデザインはどれも単純明快で、使い方の説明が必要な部品は非常に少ないことが特徴です。
また、デザインが単純明快だからこそ、時代やシリーズを超越して共通する互換性があります。例えば、1歳の時に遊んだレゴの商品を5歳になって購入した商品に使用することも可能です。
このように利用者の年齢に柔軟に対応できるため、他の玩具のように利用者が成長するにつれてゴミになることが少ないです。
経済的にも環境的にもやさしい玩具と言えます。
レゴの危機
現在でも多くの国で多くの人に愛されているレゴですが、順風満帆の経営というわけではありませんでした。
レゴは初期は順調に成長していました。
しかし、レゴの基本特許が切れて類似品が出回ったことやテレビゲームの登場により、レゴが占めていた玩具のシェアがゲームに奪われていったときに経営危機が訪れました。
このような状況に危機感を感じたレゴは多角化を始めます。
テレビゲームやテレビ制作まで行い、さらには従来のブロックと互換性のない新シリーズのレゴを販売しました。
しかし、この多角化は大失敗に終わり、新シリーズのレゴはこれまでのファンからも批判を受け、ブランドの価値を落とすことになります。
レゴの再生
レゴは多角化の失敗を受け、テレビゲームやテレビ事業から撤退します。
そして、原点回帰し高級玩具市場をターゲットに絞って高いシェアを獲得することを目指します。
そしてここからレゴの再生が始まります。
まず、レゴの新たな戦略としてオリジナルあるいは「スーパーマリオ」といった既存のストーリーやキャラクターをテーマにブロックを組み立てる喜びをユーザーに与えることを考えました。
また、ヒット商品を継続的に生み出す仕組みとして「イノベーション・マトリクス」をが考案されました。
これは商品の企画~収益化といったプロセスごとにどのようなイノベーションを起こすか整理したものです。
これにより、新製品の展開に伴う方法や戦術が立てやすくなりました。
さらに、新商品を開発するにあたってアイデアをファンに求めることにしました。
ファンは「レゴアイデア」と称されるプラットフォームにアイデアを投稿することで一緒にレゴを開発しているという仲間意識を感じます。
また、そこからNASAの女性宇宙飛行士をテーマにしたレゴなどユニークな商品が多数生まれています。
この原点に回帰した経営により、レゴの業績は回復します。
レゴブロックという軸を変えることなく、独自の付加価値を付けることでブランディングに成功しました。
その結果、玩具世界一の企業に成長したのです。
各種指標
ここからはレゴの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
まずレゴの売上は毎年増加しており、堅調な成長を続けていることがわかります。
また、営業利益率は毎年30%前後と非常に高い数字です。
一般的に製造業で営業利益率が10%を超えると優良企業だといわれますが、30%を超えているというのは驚異的な数字です。
レゴの商品に競争力やブランドがあることの証拠と言えるでしょう。
今後もレゴは堅調な成長を続けると容易に想像ができます。
今後の展望とまとめ
以上のようにレゴはレゴブロックという軸を変えることなく、独自の価値を付加することでブランディングの回復に成功した企業と言えるでしょう。
また、世界的にコロナ禍の影響によりステイホームが推奨される中で屋内で子供や家族と楽しめるレゴは好調な売上を記録しました。
要因の一つとして考えられるのはレゴがEコマースに力を入れた結果が出たということです。
レゴはデジタル分野に注力しており、2020年は前年比2倍のアクセス数を記録しました。
コロナ禍で店舗を開けられなかった期間にオンラインに客が集中したことになり、デジタル分野に投資をした結果が出たといえるでしょう。
また、従来は子供向けのラインナップが中心だったレゴの世界に「大人が趣味として楽しむレゴ」を追加したことも成長の要因となっています。
この「大人のレゴ」は余暇にゆっくりレゴを作って楽しむことに焦点を当てており、ディテールも凝った作りになっています。
商品ラインナップも盆栽やスポーツカーなど作ったあとに鑑賞できるようなものがメインとなっており、徐々に売上を伸ばしています。
世界ではまだ人口が増えていくと想定されており、玩具の需要も減ることはないでしょう。
よって知育玩具としても大人の趣味としても何年も遊ぶことができるレゴはまだまだ堅調に売上を伸ばしていくことが予想されます。
単純明快なデザインのブロックから無限の可能性を育むことができるレゴ。
今後は子供だけでなく大人の想像力も無限に広げる企業となっていくと考えます。