世界の企業研究

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ボッシュ ~世界最大の自動車部品サプライヤー~

概略

ボッシュはドイツのゲルリンゲンに本社を置くエンジニアリング・テクノロジー企業です。

自動車部品や電動工具などを製造する世界最大級の規模の会社です。

自動車部品ではエンジンから電子機器まで幅広く製造しており、世界シェアでは1位を誇っています。

ちなみに電動工具でも世界3位のシェアを誇っています。

 

出典:https://blog.f-gear.co.jp/item/gdx18v-ec2/

また、ドイツの自動車大手であるダイムラーフォルクスワーゲンとは資本関係を持たず、独立系の自動車部品製造会社であることが特徴です。

この点がトヨタと強いつながりを持つデンソーなどと異なる点といえるでしょう。

 

ビジネスモデル

ボッシュの特徴としてはやはり幅広く自動車部品を製造しているということになると思います。

エンジンから電子機器まで幅広く製造しているという自動車部品の総合サプライヤー的な立ち位置なのでリスクが分散されており、安定した利益を上げることができます。

また、時代の変化に対応していく経営をしているのも特徴です。

現在の自動車業界は大きな変革の時を迎えています。

その大きなトレンドは「SPACE」と呼ばれています。

Sはソフトウェア。Pはパーソナライズ化。Aはオートメーション(自動化)。Cはコネクティビティ(ネットワーク化)。Eは電動化のことです。

出典:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2205/08/news001.html

自動運転の実現に向けてそれぞれのトレンドの進化をソフトウェアがけん引しています。

最終的には自動車はスマホのような通信手段になっていく可能性もあるのです。

そしてこのソフトウェアを開発しているのがボッシュです。

SPACEのあらゆる分野に必要な技術を持つボッシュは世界的なテクノロジー企業ともいえます。

ソフトウェアエンジニアが全従業員の約1割を占め、毎年のように増員をしています。

単なる自動車部品(ハード)を提供するだけに留まらず、ネットワーク(ソフト)も提供することで今後も自動車にとって欠かせない存在となるでしょう。

 

各種指標

ここからはボッシュの売上、営業利益、営業利益率をみていきたいと思います。

まず、売上は長期的に見て増加しており、安定した成長を遂げています。

2022年には884億ユーロ(約13兆円)となっており巨大企業だといえるでしょう。

2020年に減少はしていますが、コロナショックや全世界規模の半導体不足などの外部的特殊要因が主な理由です。

翌年には増加に転じていることから、製品の競争力がなくなったということではありません。

営業利益率が5%以下とやや低い印象は受けますが、今後ハード主体の戦略ではなくソフトを販売する戦略に変わった場合には営業利益率は上昇すると考えています。

 

今後の展望とまとめ

以上のようにボッシュは単なる自動車部品を製造販売するメーカーではなく、ソフトを絡めた自動車部品を販売するメガサプライヤーだといえるでしょう。

自動車には非常に多くの部品が使用されており、エンジン回りなど模倣するのが困難な部品もあります。

しかし、電気自動車(EV)にはエンジンが不要です。

そのため、EVを製造するための部品が大幅に変わっていくのです。

この変化についていくために自動車部品製造メーカーは工夫を凝らしています。

ボッシュも当然様々な戦略を行っています。

それがソフトウェアであり、将来自動車はスマホと同じように通信手段のようなものに変わると考えられています。

スマホにはOSがあり、共通のOSを各自が使いながらもアプリは個人個人で別のものを使っていますよね。

それを車に置き換えると、ボッシュはOSとアプリの機能を補佐するミドルウェアを自動車メーカーに提供することを戦略にしています。

ユーザーも車のソフトをアップデートすることで車の価値を高く保つことができますし、新たな機能やサービスを車を乗り換えることなく享受できるのです。

ここから考えると、OSをいかに多くのメーカーに提供できるかが肝になり、そのシェアを制したメーカーが次世代の覇権を握ることになるのではないでしょうか。

ボッシュはそのためにソフトに力を入れているのです。

Virtualisation software collaboration sees Renesas and Green Hills

将来的に実現する可能性が高い自動運転車やコネクティッドカーに搭載されるほぼすべての部品をボッシュが提供する未来があるかもしれません。

現在世界最大の自動車部品サプライヤーであるボッシュ

世界最大の自動車通信部品サプライヤーになるかもしれません。