概略
Airbnb(エアビーアンドビー)はアメリカのカリフォルニア州に本社を置くバケーションレンタルのオンラインマーケットプレイス企業です。
2008年に創業し、その後飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長して現在の時価総額は10兆円を超えています。
シェアリングエコノミーの先駆的存在で宿泊先を提供するホストと宿泊先に滞在するゲストをつなぐ「Airbnb」を提供しています。
Airbnbのゲストは世界190か国以上の10万都市、560万以上の滞在先に宿泊することができます。
ホストは400万人以上、ゲストは8億人を超え、現在も規模を拡大しています。
ビジネスモデル
2つの収益基盤
Airbnbは旅行先の家を提供するホストと旅行客をつなげて部屋を借りるプロセスを容易にするプラットフォームです。
Airbnbは貸し出す物件を所有しておらず、ホストと旅行客のマッチングシステムをユーザーに提供しています。
そしてマッチングが行われたときには旅行客とホスト両方に手数料が発生します。
この2者からの手数料によって収益を上げているのです。
ホスト側は空いているスペースに収入が発生するのでメリットがありますし、ゲストにとってもホテルより安い部屋を当日でも見つけられるのでメリットがあります。
また、Airbnbは宿泊先を提供してくれるホストを増やすために、ガイドマニュアルの作成やプロカメラマンによる部屋の写真撮影、最適な料金設定や鍵の受け渡し方法の提案など手厚いサポートを用意しています。
利用者の声を重視
Airbnbは創業当初に「ホストが朝食を提供すること」をルールとしていました。
しかし、そのルールはホスト側には負担で登録者数は伸び悩んでいました。
そんな時、長期間部屋を開けるミュージシャンなどがアパートの自室をまるごと貸し出すという利用法を知ったAirbnbはこれをヒントにして様々なスペースを貸し出すサービスへ方向転換を行ったのです。
このようにAirbnbはユーザーがどのような利用をしているか調査し、当初のコンセプトを改めることで急成長しました。
また、「安く泊まれるサービスをどれだけ提供してもユーザーに見える形で届かなければ意味がない」ということに気付き、物件の写真を魅力的にすることで、Airbnbは売り上げを2倍に伸ばしました。
その結果「知らない人の家に泊まる」という今までにない常識をも覆せたのです。
各種指標
ここからはAirbnbの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
まず売上、営業利益共に2021年以降毎年増加しています。
2020年はコロナの影響で世界的に旅行そのものが控えられました。
そのためAirbnbの利益も上がらず営業利益はマイナスでした。
しかし、コロナ明けは日本や中国などで行動制限の緩和があり、順調に利益を拡大しています。
また、長期滞在の利用者の伸びもありました。
在宅ワークの場所としてAirbnbを利用するというスタイルも増えています。
今後は更に観光需要も増え、それに伴ってホテル及び民泊の需要も高まる見込みです。
そのためAirbnbは更に利益を拡大するかもしれません。
今後の展望とまとめ
以上のようにAirbnbは旅先での宿泊という選択肢をマッチング形式で増やし、観光業にも寄与する企業と言えるでしょう。
また、Airbnbは現在新たなサービスも提供しています。
2016年にAirbnbは「Trips」、日本語では「体験」と名付けた新しいサービスの提供を始めました。
このサービスはこれまで提供してきた「旅先でも暮らすように過ごせる宿泊先」のほかに、「ローカルの案内で興味や趣味の対象が体験できる」というものです。
日本を訪れる中国人観光客の爆買いブームが鎮火した一方で、対象は日本での体験に移行しているように、Airbnbも観光需要の対象は変化したと捉えているようです。
「体験」では、パリでのフランスワインのテイスティングや、東京での料理教室、サンフランシスコでのサーフィン体験など、ローカルの案内が醍醐味となるプログラムが用意されています。
ただ、この「体験」が用意されているのは欧米の都市が中心です。
今後は海外だけでなく日本でも素晴らしい形式を持つ県や市など、対象となる都市の拡大は大いにありえると考えています。
世界でもローカルだからこそ知っている景色やフードなどその土地でしか体験できない「コト」を増やしていくことでAirbnbは更に成長していくでしょう。
旅先での宿泊の選択肢をホテル以外に民泊という形で増やしたAirbnb。
今後は宿泊、体験以外のマッチングのジャンルを増やすことで今以上に急成長していくかもしれません。