概略
ウォルマートはアメリカのアーカンソー州に本部を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンです。
また、売上高で世界最大を誇る企業でもあります。その額はなんと60兆円を超えます。
ちなみにAmazonの売上額は42兆円。イオングループは8.6兆円ということからウォルマートの数字がいかに驚異的な数字かわかるかと思います。
海外展開も当然行っており、アメリカ大陸、アフリカ大陸を中心に世界19か国で事業を展開しています。
ビジネスモデル
価格戦略
ウォルマートのビジネスモデルの特徴として「徹底した低価格」ということがあげられます。
創業者であるサム・ウォルトンは競合他社よりも低価格で販売するためにあらゆる経費を徹底的に抑え、その分を価格に反映させていました。
また、最初は人口の少ない街に出店し、競合他社が少ない土地で徐々に価格優位性を獲得していきました。
そうするとウォルマートで購入した顧客が口コミで評判を広めてくれます。そして新たな顧客が足を運んでくれるという好循環になるのです。
こうしたマーケティング戦略も優れていたサム・ウォルトンは競合他社の研究にも非常に熱心でした。
毎日のように視察に行き、競合他社の良い点があるとすぐさま自分の店にも反映させるなど常に改善を意識していた人物だといえます。
そのマインドが今のウォルマートにも根付いているのです。
出店戦略
ウォルマートはアメリカ国内だけで約5,000店舗を出店しており、各店舗から5マイル(8km)以内に住んでいる人は全人口の3分の2を超えます。
すなわち、アメリカの人口の半分以上の人はすぐウォルマートに行ける環境なのです。
また、これに加えて配送センターや新施設を合わせることで全人口を網羅しようとしています。
DXへの素早い取り組み
Amazonの台頭で店舗に行くことなくオンラインで商品を購入できる環境が広がっていきました。
小売店としてはダメージを受けるのは必然でしたが、ウォルマートはうまく対応しました。
デリバリーサービスやEC、金融サービスまで手掛けることで顧客を取りこぼすことなくさらには新たな顧客開拓までしたのです。
具体的には「ウォルマート・アップ」というアプリで食品や家電を購入できるようにし、支払いに「ウォルマートペイ」を搭載しました。
これにより小売店にとって最も重要である顧客IDと決済データを抑えた形になりました。
このデータを活用することで的確なビジネス戦略を立てることが可能になるのです。
このような常に時代に合った戦略を行うことで世界最大の売上を誇る超巨大企業になっていったのです。
GoogleやAmazonなどの本業がITのデジタルネイティブ企業ではなく、スーパーマーケットという非デジタルネイティブ企業であるウォルマートがDX戦略を成功させたのは評価されるべきことだと個人的に思います。
「エブリデイ・ロープライス」にこだわらず「カスタマー・エクスペリエンス」に舵を切ることで今後も成長していくことが予想されます。
各種指標
ここからはウォルマートの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
(単位は億ドル)
まず売上は上記でも述べましたが、毎年増加しており2022年は約5,700億ドルと驚異的な数字となっています。
円換算すると60兆円を超えるため、世界最大の売上を誇る企業ということは間違いありません。
営業利益率が4%前後ですが、これは薄利多売のスーパーマーケット業界では高い数字です。
セブン&アイHDは2%前後など、スーパーマーケット業界は平均して営業利益率が低い傾向にあります。
そのため、4%前後という数字は平均以上と言えるでしょう。
それにしても、売上が60兆円を超える企業が毎年売上を伸ばしているという事実には驚くばかりです。
今後の展望とまとめ
以上のようにウォルマートは「低価格戦略」「出店戦略」「DX戦略」すべてにおいて成功を収めている企業と言えるでしょう。
人々の生活に密着していることから毎年のように売上を伸ばしているのも納得できます。
また、多くの小売店が敗北したAmazonのようなIT企業にも負けない「強さ」を持った企業でもあります。
世界の小売業界の売上は年々増加しており今後もウォルマートは成長していくことが容易に予想できます。
世界の人々の生活に密着したことで世界の帝王になったウォルマート。
今後も新たなビジネス戦略を行うことで更に世界に欠かせない存在になるかもしれません。